桜刀

 陸上自衛隊のエンブレムである。
http://www.mod.go.jp/gsdf/about/emblem/
 これに対してこんな主義主張が出てきた。
《「血に塗られた軍刀の記憶を呼び覚ます」 陸自エンブレムの撤回求めて署名2万人》
http://www.huffingtonpost.jp/2016/06/28/sword-emblem_n_10710764.html
 いつもの、自衛隊のやることならなんでもいちゃもんをつける皆さんですな。以下がその主義主張である。

【鞘を抜き払った日本刀が描かれたエンブレムは陸自が人殺しの道具をあがめている集団と表明していることも同然です。「問答無用」での武力行使をしてきた旧日本軍の血に塗られた軍刀の記憶を呼び覚ますこのエンブレムは、国内のみならず海外でも大きな反発を引き起こすことは必至です。
「平和への活動」と言いつつ、刀を崇拝しているデザインは、国民としても、大変恥ずかしく、海外に出すわけにはいきません。陸自に新エンブレム撤回の英断を求めます。】

 そもそも「血塗られた軍刀」って、100%に近い日本国民が見たことないよね。可能性があるとするならば90歳以上の男子で、兵隊経験者、かつ戦場でそういう場面に出くわした人だけだろう。どう考えても何人の日本人がその記憶を持っているのか疑問だ。記憶にないものをどう呼び覚ますのか。
 ワシャは映画でしか見たことがない。でも、そのイメージは軍刀ではない。新選組の組長が振るった虎徹(こてつ)であったり、眠狂四郎の夢想正宗だったりする。そんな映画で定着させたイメージを自衛隊におっかぶせちゃルール違反でしょ。
《鞘を抜き払った日本刀が描かれたエンブレムは陸自が人殺しの道具をあがめている集団と表明している》
 むき身の刀が人殺しの道具に見え、それを自衛隊があがめているってぇ。もちろん日本刀は武器として発達をしてきたわけだが、鎌倉時代から、精神性を帯び、武士道の覚悟・魂のようなものに変容していった。現在の武人である自衛隊が、シンボルとして刀を捉えているところに歴史に培われた文化のようなものを感じる。むきみの刀にヒステリーを起こしていては、「日本刀」の展示会には行かれまい。そもそも行かないか(笑)。
 熱田神宮は刀がご神体である。名古屋の中心地にあって実に清浄な空間を作り出している。展示室にはむき身の刀もあるので、聞いたこともない軍靴の音が聞こえたり、見たこともない軍刀の姿が見える妄想癖のある危ない人たちにはお越しいただきませんよう。
《国内のみならず海外でも大きな反発を引き起こすことは必至》って、ほとんどの海外では話題にもならないと思うよ。まぁ特定な海外では、この連中に引きずられて、というか特定アジアとのなにがしかの連絡をとりながら、そういうことをやっているのかもしれないけれど。どちらにしろマッチポンプは止めてくれ。
《「平和への活動」と言いつつ、刀を崇拝しているデザインは、国民としても、大変恥ずかしく》
 まだこの人たちは分かっていない。「平和」を維持するためにも活動を続けるためにも「武力」は必要なのだ。お題目を唱えていれば敵は襲ってこない、そうおもっているのは間抜けなツチガエルだけである。
 署名運動に何人の人が反応するか見えないけれど、大多数の国民は「そんなことどうでもいい」と思っているに違いない。楽しみに結果を待ちたい。