ワシャは基本的に消費税増税反対である。いずれは増税しなければならないと思っている。しかし、そのタイミングは、まず改革すべきところを改革し、それでも税収が足りないから、国民に増税をお願いするというプロセスを経なければならなければいけない。
ある市長の話である。その人も時流にのってマニフェストを掲げて選挙を戦った。結果はＷスコアで勝利を収めた。その後、そのマニフェストに掲げたことを、愚直なまでに真面目に取り組んで行政運営をしている。
「なにもそこまで……」
と言う人もある。しかし、愚直と言われようと、その首長は自らのマニフェストを市のサイトで公開し、その進捗状況を毎年市民に報告している。それが有権者との契約だからである。
ひるがえって野田首相はどうか。霞ヶ関の軍刀組に完全制圧され、マニフェストを捨ててしまった。民主党の国民との契約は反故にされたのである。もう次から民主党はマニフェストを掲げられまい。民主党がおためごかしに何を言っても、それをまともに受ける国民は激減するだろう。
だからと言って、「自民党がまともだ」ということではない。前回の総選挙で断罪された自民党は、数こそ少なくなったものの、出来の悪いまま生き永らえている。森喜朗などまだ絶滅せずに政界という海を泳いでいるのだ。
平成の軍刀組は、ある意味で学習をしている。戦前の軍刀組が全面に出てしまったために、鉄槌を下された状況をよく研究し、表面にでないことで風当たりを弱めた。バカな政治家を担ぎ、そいつらにバカ踊りをさせることで、自分たちは裏にまわって甘い汁を吸う。そういう作戦に切り替えた。たまに優秀な政治家がいて、厳しいところを突いてくるが、大方の政治家はバカなので、数の論理でなんとかなる。
平成の軍刀組は、傀儡師に徹している。だから排除がなかなかできない。
昨夏、東京でキャリア官僚の研修を受けたのだが、やはり、そのキャリアたちの質の低下は驚くほどだった。しかし、彼らを使いこなさなければならない政治家の劣化のほうが激しいので、屋台骨にたかったシロアリを排除できないというのがこの国の病根なのである。
もう民主も自民もガタガタになっている。平成の軍刀組に操られない賢明で誠実な政治家が第三局をつくるしかない。そう思っている。
