講演会は楽し

 二人の女性の発言である。
「私とて台湾で空襲に逃げまどった経験があり、戦争は二度と御免だと思っている。が、〈奴隷の平和〉もまたまっぴら御免という気持ちも同じように強い。」
自衛隊なんか要らないのよぉ。私たちは世界市民なんだから、話し合えば、分かるのよおお」

 前言が金美麗さん。金さんの著書『日本ほど格差のない国はありません!』(WAC)の中でそう言われる。
 後の妄言は田嶋陽子である。

 昨日、愛知県刈谷市で金美麗さんの講演会があった。その中で、今日の午後に放送する「たかじんのそこまで言って委員会」で、田嶋陽子と激突したことを話された。「カットされていなければ見られるわよ」と笑って言われる。
 
 金さん、白いブラウスに白いパンタロン、それに真紅のネッカチーフという出で立ちで壇上に現われた。「日の丸」をイメージしたものなのだそうな。そしてこう言われた。
「国旗、国歌を大切にしない国民はだめよ」
 とのっけから厳しい。その後、菅直人上野千鶴子孫崎享金子勝などをバッサバッサと斬り捨てる。どうでもいいメンツなのでとくに金さんの発言を引かない。
 原口一博については少しトーンが変わる。
「あの子はいい人なんだけど、芯が通っていない。その場での権力者にごまをすって擦り寄っていくのね」
 橋下徹には「もう少し熟成が必要ね。すぐに近道をしようと考えてはだめ」と言う。その上で、「でもあの子たちはものがいいの」と期待もしている。
某党については、「未だにそこが政権を握っていると考えてごらんなさい。ぞっとするわね」とこれまた厳しい。
「野田さんが、政権を放り投げたでしょ。その瞬間から、円安、株高がはじまったわけ、安倍さんがなにかしたということではないんだけれど、民主党に辟易としていた国民の気分が動いてそうなったのね」
「私は民主党政権ができた時から、これでは日本が潰れてしまうと言いつづけてきた。あの三宅さんですら、民主党に期待するところが見えたけれど、私は終始一貫して、ダメだと言ってきた。結果は正しかったでしょ」
 河村名古屋市長にもきつい。
「パフォーマンス多すぎ。有権者の劣情、嫉妬、ねたみ、やっかみ、やきもちをかき立てるような政治家は、そもそも本人がそういった劣情をもった人間です。そういうことで人気を得ようとする政治家は最低」
 田中真紀子にも触れ、返す刀で満場の聴衆に喝をいれる。
「彼女が外務大臣の時に、海外に行ってホテルに泊まる際、値段の高いロイヤルスイートをキャンセルして、狭い部屋に移って拍手喝さいを浴びたでしょ。今までの外務大臣をこきおろした。そもそも大臣がロイヤルスイートに泊まるのは、セキュリティの問題もあるし、外国の要人と会談もしなければならない。だから広いスペースが必要なの。そういった意義も考えずに、パフォーマンスで狭い部屋に移動したって意味がない。当日にキャンセルしたって、ホテル代は取られるわけだし、会議はしなければならないから、別の会議室の費用もかかる。ロイヤルスイートに泊まらなくても、ちっとも節約になっていない。でも、日本ではロイヤルスイートに宿泊する大臣たちをやっかむ国民が田中真紀子に大喜びをしていたでしょ。そういう嫉妬はもう止めない?」
 
 そしてやはり日本人に対しては希望を持っておられる。
「日本人は、勤勉で向上心がある。名を重んじる。公が私よりも前にある。そういった日本人が増えてくれば、日本は絶対によくなっていく」
 奴隷の平和に甘んじることなく、多くの心ある国民が公のために切磋琢磨していけば、必ずやこの国はさらにいい国になっていくだろう。金さんの講演をこう聴いた。
 金さんとてもお元気だった。彼岸に旅立たれた三宅久之さんの分までがんばってくださいね。