ソロモンの偽証

 宮部みゆき『ソロモンの偽証』(新潮文庫)を必死に読んでいる。
 小説は好んで読まない。人物の相関図や物語の構成をイメージするのが辛くなっている。だからなぜそんなことをしているかというと、2日前に、金曜ロードショーで「ソロモンの偽証」が放送されたからなのである。ついつい見てしまった。でね、11時になったら、途中で終わり。「後編は来週をお楽しみに〜」ときやがった。おいおい、映画を途中で止めるってのはワシャにはできない。完結させてくれ。よっぽどビデオ屋に走ろうかと思ったが、夜中なので断念したが、気持ちは納まりませんわなぁ。
 次男にきくと「『ソロモンの偽証』は全6巻もっているよ」とのこと。だったら結末まで読んでしまおうということで読みだした。小説も、読めば読んだでおもしろいッス。展開もおおむね腹に落ちたし、これで来週後半を見なくてもいい。
 物語は、ある中学校でおきた事件について、中学生自身が法廷を開いて裁くというもので、「こんな優秀で積極性のある中坊がいるかなぁ」と思いつつ、それでも中にはリアルな中学生も登場し笑わせてくれる。被告席に座らされる大出君なんかはボロクソだ。
「大出君は本当にしょうもないヤツですけれども、たった一度、学校内で些細な衝突をしただけの相手を、その後も辛抱強く恨みに思い、仕返ししようとつけねらい、計画を立てて呼び出し、殺害するほどの知恵はありません。それほどの根気もありません。そんなに物覚えがよくないんです」
 いわゆるツッパリ不良の典型のような大出君を少年課の女刑事がこう決めつける。
「被告人はもっと単純で、目の前の出来事にしか反応できないんですよ」
 自分の中学生の頃のことを思い出して「クスリ」と笑ってしまった。