まなの本棚

 女優というニュアンスも違うかな。子役とするには知的レベルが高過ぎるし。芦田愛菜ちゃん、成長著しい。「ちゃん」付けもちょっと失礼なくらい大人になってきた。愛菜「さん」にしておこうか。

 書店で、芦田愛菜『まなの本棚』(小学館)を見つけた。

f:id:warusyawa:20190822144618j:plain

 15歳の中学生の書いた本なんか・・・とも少しは思った。でも、愛菜さんが読書家であることはなにかの番組で聞き知っていた。だから手に取ってパラパラと繰ってみた。そしたらね、『永遠の0』という文字が目に飛び込んできた。『永遠の0』と言えば、百田尚樹さんのデビュー作ですわな。

 百田さん曰く。

ツィッターで私の本を褒めたりすると、一般人でもアンチから不愉快なリプをもらう。有名人や政治家だと確実にアンチコメントが殺到するので、それを恐れてツイートしない」

 そうなのだ。「百田尚樹の書いた本」というだけで左巻き集団は火病を発症してアンチコメントを投げつけてくる。

 しかし愛菜さんは堂々と評価し「強い衝撃を受けた」と綴っている。そしてなによりも15歳の少女が、この小説の真意をきっちりと汲み取っているところが素晴らしい。左巻きは「戦争礼讃の危険な書」とか「特攻隊を美化している」とかほざくけど、けっしてそんなことはないと、愛菜さんは素直な感性で読み解いている。

《この本を通じて、戦争について深く考えるきっかけになりました。》と感想の末尾を結んでいる。『永遠の0』を嫌悪する連中に、愛菜さんの爪の垢でも煎じて飲ませたいくらいだ。

 愛菜さんのこの一章について、もしもクレームをつけているような左巻きがいたとしたら、そいつはサイテーなやつだな。

 

 素敵な本の話にもどす。

『まなの本棚』は、愛菜さんが読んだ本の感想文集でもあるが、優れた読書術の本でもある。

「読書はお風呂や歯磨きと同じ生活の一部」

「いつでも時間がある時に、気がつけばいつも本を読んでいるんです!」

「3~4冊を同時並行で読む」

 むふふ・・・ワシャは風呂に入りながらでも、歯を磨きながらでも読むけどね。

 愛菜さんの「本の出会い」論はなかなか興味深い。書店や図書館で、本の背表紙が光るのだそうな。それを手に取って見ると「ほんとうにおもしろい!」と思えるような、ものすごく相性のよい本にめぐり会うという。

 これは、ワシャも体験したことのあることで、ブックオフなどで、背表紙を眺めていて「おや?」と思う瞬間がある。その「おや?」と思った本を手に取って、表紙の裏を見ると、著者のサインが入っていたりすることが何度かあった。愛菜さんの言う「素敵な内容の本」とは、少し違うけれど、でも、そういったことが有りうるということである。

 愛菜さん、「紙の本の手触りが好き」とも言っている。詳細は措くけれども、古書も含めて紙の本に残る痕跡をたどるのも楽しいと言っている。愛菜さん、本物の読書家ですな。

 本書では、愛菜さんが素敵な出会いをした本100冊を紹介している。その中に冒頭に紹介した『永遠の0』も入っていた。でね、ワシャは何十年も本を読んで生きてきたわけだが、愛菜さんの100冊の内、40冊も読んでいない本があった。愛菜さん、小説のチョイスが多く、最近の小説に関して言えばワシャはほぼ全滅だった。15歳の少女に負けてしまった。これはちょいとショックだった。

 

 ということで、『まなの本棚』は駅前の本屋さんの棚で、キラッと光ったのでした。