ダイ・ハード

ダイ・ハード」という映画をご記憶だろうか。超ヒット作なのでご存知ですよね。とりあえず話の内容などは棚に上げておく。要するにすべての事件が解決されラストのラストでこんなシーンがあったことを思い出していただければ。
 災害現場のようになったナカトミビルでマクレーン夫妻が再会をはたす。そこに有名テレビキャスターが近づいて来る。事件の最中に興味本位の報道で夫妻を危機に追い込んだ男であった。そいつがにやけ顔でマクレーンに話しかける。マクレーンはおもいきりキャスターをぶんなぐるのだった。めでたしめでたし。
 こんなラストだったでしょ。
 この映画は1988年に作られた。まもなく30年が経過しようというものである。そのことからマスコミはバカだったんだね。
 2004年の中越地震でも、NHKの記者がやっちまった。被災地の自治体に電話取材に及んだのだが、被災直後で、それも深夜にさしかかる時間帯に、いかに行政とはいえ被害の状況や被災者のことが情報収集できるわけがない。それをしつこく追及する記者の様子が全国に放送された。マクレーンに殴られろ。
 それからマスコミも反省したようで、被災地への電話取材は丁寧になった。被災地の忙しさを踏まえ低姿勢に情報収集をする。当たり前と言えば当たり前なのだけれど。
 その後、2007年の能登半島地震中越沖地震、2011年の東日本大震災長野県北部地震と、日本の中部以東はたたみかけるような災害に曝されてきた。自衛隊、消防、警察、自治体は学習してきた。しかし、マスコミは進歩していないねぇ。
 中越地震の時、報道各社のヘリコプターが五月蠅かった。被害を空撮しようと、ハエのように被災地上空を飛びまわった。それでなくとも自衛隊や消防のヘリが飛んでいるのだ。興味本位の民間ヘリがうろうろするのは邪魔以外の何物でもない。それも、倒壊家屋や土砂に巻き込まれた被災者が助けを求めているのである。体力も落ちてくるし、喉だって嗄れてくるだろう。だからかすかな声しか出せない。それを自衛隊も消防も聞き耳を立てて探っている。それが上空から「バラバラバラバラ!」である。爆音を立て、土煙を巻き上げ、邪魔以外のなにものでもない。そもそもワシャは熊本城の崩壊状態の空撮を何度も何度も見なくてもいいと思っている。それもワイドショーで。相変わらずマスコミは「ダイ・ハード」から学んでいない。
 もう一つ、国の防災行政が滞っている。地震災害は断層型であれば地域はかなり限定される。局地的と言っていい。だから、中越地震の情報が熊本県民が認識できなくても、それを責めるのはおかしい。ワシャはたまたま近い場所にいたので、中越地震東日本大震災も被災地に行くことができた。でも熊本県の普通の市民が中越能登に行くのは生半ではない。そういう意味で危機感がなくても仕方がないのである。では、どこがフォローするのかと言えば、国に決まっている。国の防災部門がきっちりと各地の地震災害を検証し、それを丁寧に地方自治体に伝えていくことが重要である。例えば、支援物資の受け入れについても被災地で混乱しているという。そんなことは当たり前だ。阪神淡路でも中越でも大混乱だった。でも、そういった災害を経て地域やNPOは学習していった。そのノウハウを一地域やNPOだけに留めるのではなく、国が横断的に情報を蓄積し、要員を養成し、災害発生直時に自衛隊が現地に入るように、国の防災担当部局が被災地に入ることである。そこに本部を立ち上げる。河野大臣もそこで陣頭指揮を執ればいい。役人が霞が関にいたって屁の突っ張りにもならないことは、東日本大震災で証明済みではないか。災害は現地で。県や市町村を超えた権限をもつ国がリードをしていくことが重要だと考える。そのための特命大臣でしょ。選任大臣にしたほうがいいけれど。
 福岡県がようやく県内の宿泊施設に被災者の受け入れを開始した。
http://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/saigaitaisaku2016.html
 だから1週間も前からそう言っているのに。
《例えば福岡県、佐賀県長崎県など周辺の自治体の宿泊施設に移動させて避難生活をしてもらう。支那中国あたりから大挙押し寄せている観光客は、非常時であるから、少し遠慮してもらえれば11万人の被災者の皆さんにもう少し快適な避難生活が確保できるのではないだろうか。》
 遅い。

 こっちも大ハードだ。
《本田、屈辱の新序列。新指揮官は“18歳MF”起用を優先》
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160422-00010003-footballc-socc
 本田も苦労していますなぁ(笑)。