「奴隷はなぜ逃げないのか−SMAP独立騒動から」と題された論文が秀逸だ。
http://agora-web.jp/archives/1667223.html
まず、芸能界というついこの間までヤクザのしのぎだった業界には、中世のような「キルド」や「座」が未だに存在している、と前置きをしながら、古代ローマ帝国の奴隷制とSMAP問題を重ねて検証している。
要約すれば、がっちりと経営者たちの「ギルド」で固められた業界で、子供の頃から合宿所(収容所と言ってもいい)で外界と隔離され純粋培養されたタレント(商品あるいは奴隷と言ってもいい)が、体制に逆らうことの難しさを解説している。なかなかおもしろかった。
今回のSMAP騒動は、古代ローマから延々と続いてきた、所有者と奴隷の問題を図らずも露呈してしまうことになった。
経済・環境ジャーナリストの石井孝明さんは言う。
《奴隷はなぜ逃げないのか》
《道具は「恐怖」と「利益」だ。》
《SMAPは10代から芸能活動をジャニーズ事務所で行い、他の世界を知らない。仕事を干される恐怖をちらつかせながら、名声、給料の優遇などの利益を事務所は与えた。》
読んでいると、華やかなスポットを浴びる若者たちが哀れになってきた。
週末に作家の荒俣宏さんの講演会がある。そのために最新刊の『サイエンス異人伝』(講談社)を読んでいる。
その中に、カンブリア紀に起きた生物大爆発の話があった。あの時期に生物は、激変する環境の中で「学習」し「外界」知り「情報」を集め自らを改造していった。その結果、大繁栄をし、種として多様化してきたのだそうな。もちろん人類もその最先端にいる。
今回、SMAP細胞は分化できないのかもしれない。しかし、いつまでも絶対君主の奴隷でいてはいけない。それには「学習」して「外界」から「情報」をたくさん集めることである。それが自由、解放を得られる最短距離ではないか。