寡占化

 SMAPにはなんの興味もないが、最近、テレビを見ていると、いささかジャニーズ事務所のタレントが多すぎないか、と思う。紅白歌合戦にしてもそうだった。司会の井ノ原くんにはじまり、嵐、関ジャニ郷ひろみ近藤真彦SMAPTOKIO、V6が大晦日の舞台に登場した。グループが多いから、延人数にするとかなりの人数だ。
 べつにタレントに限ったことではないが、どんなことについても言えることとして、寡占化はよくない。なるべく多様性があったほうが美しいし、楽しみもある。フォーリーブス以降、ジャニーズの歌謡グループは、同じ旋律を、声を合わせて歌うというのが基本だ。どのグループがどの曲を歌っても同じだし、おそらくゴスペラーズのようなグループはジャニーズでは編成できまい。
『永遠の0』の岡田くんもよかったし、『赤めだか』の二宮くんもいい役者になるだろう。でもね、めぼしい美少年は、もののいい若者は、ひとつの会社がみんな押さえてまっせ、というのはいかがなものだろう。
 へんな顔やだみ声はダミだということになる。あ…そうか、それは吉本興業が受け皿としてあるからいいのか。でも、それもお笑いタレントの寡占化ということにつながるわけで、多様性を失うことには違いない。
 江戸時代も後半のことである。千葉周作という剣客が現れる。当時、剣術指南というものは型を学ぶものであった。しかし、周作は竹刀・防具を使っての実戦を主眼においた「新流」を立てた。北辰一刀流である。この流派が登場したことで、剣術指南のすべてといっていい市場を独占していた旧流は消えていった。
 周作の剣術は多様性のひとつである。それを認めることが次の発展を生む。今回のドタバタ劇は、芸能界にとってはいい効果を生むのではないか。