緑から純白へ

 時おり、本の購入で失敗してしまう。今回は、言語学者外山滋比古『自分の頭で考える』(中央公論社)である。それも含めて、昨日、ブックオフで買った本15冊のうち8冊が重複本だった。でも間違って買ったのは『自分の頭で考える』の1冊だけだった。表紙はこんなふうになっている。
http://books.rakuten.co.jp/rb/12182687/
 金髪をセンターで分けた木彫りの男……見たような表紙だなぁとは思ったんだけど、目次を読んで、《忘却は「力」である》という章が面白そうだったので200円で購入してしまった。過去に買って読んだことを忘却していたのね(泣)。
 他の7冊は重複を確認して購入している。司馬遼太郎の『司馬遼太郎が考えたこと』(新潮文庫)は、2,3,4,5巻を買った。単行本は1巻から15巻まで書庫に収まっている。でも、単行本は重いので、寝床に入ってから読むのに少し辛い。だから、司馬作品の文庫は寝室に置くために買う。同様の理由で『街道をゆく』(朝日新聞社)の36,37巻、『司馬遼太郎からの手紙』(朝日文庫)を購入した。ちなみにどちらも本所、深川、本郷あたりのことを書いてある。
 意図せずに買った『自分の頭で考える』は、負け惜しみではなく再買(さいかい)してよかったと思っている(泣)。平成24年8月に、買った時に読んで、そのままお棚入りをしてしまった。今回、改めて読み通してみると、さらに感じるところがあり、3年前の付箋は3か所だったが、再度買った本には10か所も付箋をつけている。でね、やっぱり同じところにも付箋をつけており、「ああ忘却していたんだなぁ」ということが分かった(笑)。
 この本の中で外山先生はカイコの話を書いている。ざっとこんな話である。
「カイコは緑の葉を食べて純白の糸でマユをつくり上げる。少しの間、カイコはマユの中で息をひそめているが、その後、マユから外に出てきて蛾となって生殖をして卵を生む。這っていた虫が一度活動を止めてから成虫に変身して飛ぶ。カイコは悠々と二生をとげている。一度の人生をどう生きたらいいのかと汲々としている人間をカイコは笑っている」
 というような話で、うまく伝えられないけれど、いいエッセイだったので、機会があったら、ぜひ、ご一読くださいね。
 外山先生が学生時代を過ごした町で、先生の講演会が予定されていたが、急きょ、体調を悪くされて中止になってしまった。先生のご講演を拝聴したかったなぁ。