一進一退

 相変らず本棚の整理をしている。
 昨日も処分する本が、山のように出た。倉庫の奥に積んであったダンボールに手をつけたら、「小説新潮」「オール讀物」「歴史読本」「諸君!」「ユリイカ」などの雑誌類のバックナンバーを掘り起こしてしまった。その数は数百冊に及ぶ。それらには付箋がペタペタ貼ってあるので、それぞれを一々確認しながら、不要な付箋は外して、手元に残すものとブックオフに持っていくものに分けた。午後の整理だけで、大き目のコンテナボックス3つが満タンになってしまった。それで片付いたかというと、まだダンボール数箱分が未整理のまま、玄関スペースに居座っている。このところ毎月、本棚一本分くらいずつ処分しているが追いつかない。
 
 重複本のダンボールもあって、そこにはワシャが気に入っている著者、司馬遼太郎、塩野七海、西部邁西尾幹二谷沢永一などなど、古本屋でも始めるつもりだったのかなぁ(笑)。ブックオフで100円で売っているのを見つけると掻き集めるように買っていた時期があった。その残滓が倉庫の奥から出てくるわ出てくるわ。10年以上、寝かせていたと思う。しかし、本は熟成しない。どっちかと言えば劣化するばかりだ。

 その重複本を整理している時、やっぱり付箋の貼ってある本は手に取って確認をしなければいけない。付箋があるということは、読んで印象に残った個所だということである。読んで重要だと思ったところはそのまま捨てられない。同じ本が書棚にあるので、そちらの本を引っ張り出してきて、重複本の付箋を打ちなおす。そうするとね、だいたい同じ個所に付箋が打ってあるんですね。これは感動しましたぞ。
 西尾幹二『男子、一生の問題』(三笠書房)も重複本で、なおかつ付箋が打ってあるということは、2冊目も読んだということですな。2冊を並べて付箋を確認し打ちなおしていると、どうしてもまた読んでしまう。こんなことをしているから整理が進まないんでやんす。
 その第7章が西尾氏の読書論だった。彼は言う。
《ビジネスマンでも読書家なら、本の置き場に苦労しているはずである。本はできるだけ廃棄しないほうがいい。印象に残った本はもとより、完読した本は、貴重な自己の体験記録であって、捨てないほうがいい。私は八割ぐらい読んだ本は、つまらぬ通俗本でも捨てない。少年時代の本も、これは完読しているので、だいたい保存してある。》

 えええっ、「本はできるだけ廃棄しないほうがいい」「つまらぬ通俗本でも捨てない」って……重複本はいいけれど、そうではない本の整理・廃棄に支障がでそうな一文に出くわしてしまった。やれやれ。