人生にはいろいろな出会いがありますな。人との出会いもそうですが、モノとの出会いもある。例えば、本とか、道具だとか……。あるいは、絵画であったり、音楽であったり、文化などのこともある。
何年か前、友だちに教えてもらって「ショパン」のコンサートに行ったことがある。その後、CDを買ったり、ショパン関連の本を読んだりして、ショパンをワシャなりに理解し好きになった。これはいい出会いだったと思っている。
最近は、古い建物が好きになってきた。和風の家というか、昔ながらの畳敷きばかりで構成されているような民家を見に行くのが楽しい。
なにも置かれていない続きの空間っていいじゃないですか。モノのあふれている現代では、ぎゃくに贅沢な空間になってしまったのかもしれないが、昔は、田舎の民家に行けば、八畳間が四つまるまる何もない空間として存在していたものだ。母親の実家が岐阜の田舎だったので、里帰りをすると四つの八畳間(四八畳)はワシャと妹の運動場だったなぁ。
この年齢になるとノスタルジーがわいてくるのだろうか。古民家などを見ると「いいな〜」と思ってしまう。
豊橋の二川宿に本陣と旅籠屋が復元されている。江戸時代というか、つい50年くらい前までの日本が感じられるのでたまに足を運ぶ。最後に行ったのは、2年くらい前だった。ここは四八畳なんてものではない。部屋数二十を超え、廊下だって畳敷きだから、その広いことといったらありゃしない。真ん中あたりで、係員の目のないときにゴロンと横になってごらんなさいよ。家の中を吹き抜けている風に「あ〜日本人でよかった」と思いますぞ。
最近、本陣の東に商家の「駒屋」が復元された。本陣と比べると、たたずまいは質素だが、それでも主屋には和室が四つ、離れ座敷は十畳二つと八畳がひとつの三つの間がならぶ。ここもいい。小さな江戸との出会いがあるかもしれないので、お暇な方はお出かけあれ。
詳しくはこちらを。
http://www.futagawa-honjin.jp/
そうそう、今日は「二川宿本陣まつり」らしい。あいにくの雨だけれども豪華な大名行列も登場する。去年は、殿様役のオジサンが銀縁の眼鏡をかけてポスターに写っていた。さすがに銀縁の眼鏡はないんじゃないの。外して写ればいいものを。トホホ。
ことしは殿様の松平伊豆守役を、宝塚のOGの麻園みきさんが演じる。これはカッコいいことだろう。