七味五悦三会

 タイトルは、友だちのユッキィさんのツイッターで教えてもらいました。大晦日の夜に今年あった出来事を除夜の鐘を聴きながら振り返る。七味は、今年初めて食べた美味しい物。五悦は、楽しかったこと。三会は、初めてあった人。それが七、五、三であれば「今年はいい年だった」ということになるらしいのです。江戸の風習らしく、とても素晴らしい大晦日の過ごし方だと思いました。
 本当はね、大晦日の夜に考えなければいけないのだけれど、その夜、ワシャは神社で走り回っていたのです。だから、元旦に考えたのだった。

 七味は……いつも行っている居酒屋で食べた蒸牡蠣がとびきり美味かった。これはおそらくワシャが食ってきた牡蠣のなかで一番だった。別の飲み屋で食った仙鳳趾(せんぽうし)の生牡蠣もよかった。これは今までに口にしたことのない深い味わいの牡蠣だった。前述の蒸牡蠣がなければダントツのトップだったろう。
 名古屋能楽堂の食事処の大森で食した鯛茶漬けもなかなかでしたぞ。8月初日にいただいたイワシの刺身のコクのある脂に顎が落ちそうになったわい。大垣の飛騨牛蕎麦も、刈谷ののれそれも美味であった。豊橋駅前でつまみでたのんだ鰻の白焼き、ノドグロの刺身も滋味豊かな味わいであった。
 都合八味であるからここは合格。

 五悦は……まずは豊橋で聴いた立川志の輔でしょうね。ワシャには初めての噺だった「柳田格之進」はとても聴きごたえがあった。名古屋の千種で開催された呉智英さんと大竹敏之さんのガチンコ講義も楽しかった。国立新美術館ミュシャ展も見ごたえがある展示会だった。「スラブ叙事詩」全20作の迫力はただならぬもので、今でもその興奮が残っている。名古屋城二之丸での平成中村座もよかった。名古屋城の堀が借景となっている。十八代目勘三郎の思いがひしひしと伝わるいい舞台だったなぁ。京都国立博物館の国宝展も見どころ満載で楽しかった。クラシックコンサートもいくつか足を運んだがやっぱりライブはいいなぁ。岡崎で聴いたパッヘルベルの「カノンとジーグ」は感動した。談春もよかったし、ハムレットも劇的だった。まだまだあるけれど、五悦は軽く超えている。

 三会が問題だな。以前は、毎年何人もの新たな人とお会いしてきた。とくに15年前の平成16年は怒涛のような一年だった。切っ掛けは作家の日垣隆さんのセミナーに参加したことだった。そこで日垣さんとお会いしたわけだが、その時の講師陣に、コラムニストの勝谷誠彦さんやノンフィクションライターの藤井誠二さんがお見えになっており、日垣さんを始めこの方々の著作には今も強い影響を受けている。また、生徒のほうにもワシャにとって重要なメンバーがいた。愛知県同士ということで意気投合したセコミチさんやユッキィさんは未だにご交誼いただいている。また新聞記者、シナリオライター、編集者などなど貴重な縁を得ることができた。
 この年がワシャにとって大豊作の年だった。おそらく平成16年はワシャの人生のターニングポイントになった年と言っていい。
 この年と比べると昨年は見劣りがするが、まぁワシャの動きも鈍くなっているのだろうが……。
 それでもね6月にはMという人との重要な出会いがあった。これはワシャの人生の中でもとびきりの邂逅である。それ以外には、某市の市長に初めてお会いした。なかなかの好青年であった。まだまだ頭も低いしうまく育っていけばいい市長になる、そう思った。呉塾での大竹敏之さんとの出会いもあったし、今、売出し中の小説家の沖田円さんともお会いすることができた。平成16年は30人を超える大切な出会いがあったことを考えれば、昨年は少なめだった。でも4人なので「三会」はぎりぎりクリアしているよね。
 ということで「七味五悦三会」ともクリアなのでいい一年であったということにしておきます。

 こんなまとめは年末にやっておけよという話ですね(謝)。