CCCその2

 もう1ヶ月半も前の話なので、旧聞に属するが、大分県武雄市の図書館でお騒がせをしているCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)が、CEOの名前で出したこんなお知らせがある。
http://www.ccc.co.jp/news/2015/20150910_004827.html
 CCCが図書館の指定管理を市から委託されてやっていたけれど、銭を惜しんで(もちろん民間だから利益最優先です・笑)、ネットオフから中古本を調達してしまった。それも手間を惜しんで(もちろん民間だから時短最優先です・笑)、選書など適当にやってしまった。これがばれて大騒ぎになったから、言い訳をホームにアップしたということ。
 言い訳をお知らせするのは当然である。しかし、ここでもCCCは間違いをおかしてしまった。この会社なにも考えていないのではないか。
 お知らせの8行目である。
《追加納入蔵書について調査した結果、リニューアル開館から2015年9月9日までの約2年半で一度も借りられていない蔵書が1,630冊ある事が判明致しました。つきましては、弊社にてこれらの蔵書と同等の冊数を新たに選書し寄贈することと致します。(1,630冊寄贈予定)これらの対応を、市当局と相談の上、可及的速やかに実施します。》
 そもそもこの会社が「図書館とはなんぞや」ということを理解していないことを証明する文章だ。ここでは「2年半で一度も借りられていない蔵書が1,630冊ある」と言っている。このことをいかにも問題であるかのように取り上げているところが、大問題なのである。そりゃ10年前の資格試験の対応本だったり、何年も前の埼玉県のラーメン店マップなど情報の古びた本に借り手はつかない。しかし、2年半で一度も借りられていない本が不必要な本かというとその認識は誤りだろう。もちろん例に挙げた2冊は不要本である。でもね、例えば。
『勝山記と原本の考証』
『設楽原戦史考牧野文斎遺稿』
『山家三方衆』
 これらは「長篠の戦い」関連の書籍であるが、この本が借りられるのは10年に一度あるかないかであろう。しかし、三河で起きた戦国合戦の研究には必須の文献である。1年や2年で中身が古びない。それどころか200年、300年経っても、その本の内容は大切な情報なのである。
 CCCはここのところを間違って考えている。「借りられないから不要本」ではないのだ。図書館の根本を理解せずして「市民が必要としているのはニーズの高いよく売れている本だ」などと思っている間は、まぁ期待しても無駄だろう。

 早速、沈没船からいち早く逃げ出そうとするものもいる。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151027-00004732-kana-l14
 フットワークが良くてなによりですな(笑)。