いい話

 昨日、JRで名古屋に出るために、駅前にある駐輪場を利用した。有料なのだが、そこに自転車を置いて電車に乗る。料金は1回100円。三河安城駅も刈谷駅も無料駐輪場なのだが、ワシャの利用する駐輪場は金をとる。
 それはいい。それはいいが、このところ駐車券発行の機械の調子が悪い。100円玉の感度が悪いのである。何度、100円玉を投入してもつり銭口に戻ってしまう。事務所の中を見ても、係員は巡回にでも行っているのか、不在だった。駅には、そんなに余裕をもって行っているわけではない。乗る電車を決めているから、時間的には2〜3分ほどの余裕があるかないかだ。その状況での、この手間取りはかなりきつい。そこでとにかく駐輪をしようと考えた。それがまた、混んでいる日で、奥のほうにようやく1台分のスペースを見つけて、ようやく駐輪することができた。
 事務所のところまで戻ると、中にオジサンが戻っていたので、「発券機の調子が悪いんですが」と訴えた。その時点で、ホームのアナウンスがワシャの乗る快速の到着を告げている。
「すいません、時間がないので……」
 と係のオジサンに100円を手渡して、駐輪場を出た。
 係員のオジサンの声が後方からする。
「どのあたりに停めたの?」
 ワシャは振り返って、
「奥のほうです」
 と応えたが、奥のほうだけではおそらくわかるまい。ワシャはペコリと頭を下げると、そのまま駅に通じるエスカレーターに飛び乗ったのだった。

 御園座歌舞伎の千秋楽に行ってきたわけなんですが(笑)、帰ってきて、駐輪場で自転車のハンドルを見て驚いた。「自転車普通駐車券」がテープで止めてあったのだ。オジサン、あんなつたない説明で、よくぞ自転車を見つけてくださった。誠実なオジサン、ありがとう。