日米決戦

 U−18ベースボールワールドカップ日本×アメリカ。1−2の凄い試合だった。
 9回表、日本の守備、一塁アウトは素晴らしいプレーだった。ランナーは一塁からリードしている。ファーストはその前で守備についている。ピッチャーが投球を開始する。ランナーは走り出す。カウントはボール。セカンドがランナーの背後をファーストに移動している。キャッチャーがそのセカンドに鋭い送球を放つ。リードしていたランナーはあわてて一塁に戻る。間一髪、玉がセカンドのグローブに納まった。セカンドがベースタッチ。塁審は「アウト!」を宣言する。
ランナーの裏をかいたピッチャー、キャッチャー、セカンドのファインプレーだった。鳥肌が立つような日米の若者による戦いだった。
 そして9回裏、日本の攻撃。打順は清宮からはじまり平沢、オコエと続く。夏の甲子園のトップスター2人が回ってくる。映画ならこのシチュエーションで必ず何かが起こる。だが現実は厳しい。三者凡退。日本はアメリカに惜敗した。
 結果は結果である。勝負の世界は厳しいということを清宮たちが学習したのなら、それはそれでよかったと思う。敗けて学べることは大きいのである。準優勝おめでとう。
 試合を中継しているカメラがときおり、日本側の選手たちの表情を映していた。9回裏にもそのシーンがカットインされたが、その時の高校球児たちの表情の気高さはいかばかりであろうか。長年にわたり鍛えられた精悍な顔、必死に勝利を念ずる若武者たちの姿をどこかで見たような気がした。

靖国だ!」
 国を賭けた大一番を戦い、遊就館に掲げられていた少年兵たちと同様な匂いを、彼らは持っていた。

 ワシャは、相撲オヤジである。基本的に野球は見ない。しかし、そんなオヤジですら、U−18の日米決戦を観戦し、その試合に感動した。
 野球の試合ですらそうなのである。これが国の存亡をかけた総力戦、周囲の若者たちが戦士として戦場におもむいた大きな対戦だったのだ。国民の熱狂たるやその比ではあるまい。
 野球の日米戦を観て、先の日米決戦を思い出し、若者たちの奮戦にこうべを垂れるのであった。