10年ひと昔

 今朝の朝日新聞1面にカラー写真が載っている。元安川に流される燈篭ごしに原爆ドームが見える。タイトルは「非戦の誓い 次世代に 広島被曝70年」だった。
 手元に2005年8月7日の朝日新聞がある。1面のカラー写真は、元安川に流される燈篭ごしの原爆ドームだ。10年経っても撮る写真、話の内容も同じといっていい。
 今日の1面はこの他に、平和式典の安倍首相のあいさつについてやら、有識者懇が提出した安倍首相の70年談話についてが目につく。朝日新聞は、ホントに安倍さんが好きなんだね(笑)。
 10年前の新聞は、2面がおもしろい。10年前はまだ首相は小泉さんで、彼の信念である「郵政民営化」が佳境に入っていた。この法案が翌日か翌々日に参院本会議採決に付される。まさに小泉劇場の正念場といったときである。
 そこで登場するのが、相も変わらず森喜朗氏である(泣)。このときも郵政族に後押しされて、首相官邸までのこのこやってきた。朝日新聞の「首相動静」を見れば、森さんは午後6時13分にやってきて、官邸で首相と一杯やって、7時40分に官邸の前で記者の質問に答えている。
 覚えていませんか。ビールとチェダーチーズをカメラの前にかざして、「これだけしか(出してくれ)ないんだよ」と不平をこぼしている森さんの情けない顔を。結局、小泉首相の「郵政民営化」への意志は固く、政治屋の説得などには耳を傾けなかった。
 この10年で多くの政治屋が退場していった中、森さんだけは相変わらずご活躍で、しぶといというか未練というか、さっさとJOC会長もやめて石川県にもどればいいのに。

 それにしても、たまたま安倍首相と10年前の小泉首相の「首相動向」をみていて驚いた。圧倒的に安倍首相のほうが忙しいのである。ちょいと比べてみる。

 まず安倍さん。
午前8時 原爆死没者慰霊式・平和記念式
9時4分 被爆者代表から要望を聞く会
10時20分 記者会見
11時54分 広島空港から羽田空港
午後1時45分 官邸着
1時57分 高村副総裁
2時55分 稲田朋美政調会長
3時41分 人事院勧告
4時31分 有識者懇から報告
4時48分 国土交通相
5時57分 TPP担当相
6時16分 総務相
7時9分 内閣情報官、事務次官と打ち合わせながら食事
9時23分 帰宅

 こりゃ忙しいわい。

 対して小泉さんはというと
午前8時 原爆死没者慰霊式・平和記念式
10時41分 福山市の美術館で展示を鑑賞
午後0時32分 広島空港から羽田空港
3時16分 官邸着
6時13分 森前首相

 と、これだけだ。郵政解散が迫っている割にのんびりとしているのがわかる。おらが国の今の首相はがんばっているのだ。