夕べの「プライムニュース」がおもしろかった。
『“昭和90年”の肖像⑥ 鬼才・岡本太郎と芸術 バクハツしたものは何』
生前の岡本太郎をよく知っている石原慎太郎氏と、岡本太郎研究の第一人者である山下裕二氏を迎えての話は極めて興味深い内容だった。大阪万博での丹下健三とのつかみあい事件って知ってました?
岡本太郎の製作する「太陽の塔」と丹下健三の設計した「エキスポゾーン(大屋根・お祭りゾーン・エキスポタワーなど)」の配置をどうするかということで両者は大喧嘩となった。
芸術家は「大屋根に穴をあけて常識の壁を貫け」と主張。建築家は「未来の建物は全体で調和を図っている。太陽の塔は大屋根を避けて、その背後かあるいは前に造ればよろしい。そもそもエキスポタワーというシンボルタワーができるのだ。2つも巨大なタワーはいらない」と反論。
結局、通産省の堺屋太一氏が預かるかたちになって、最終的には丹下の常識の屋根を岡本の爆発が破った。
あれから45年が過ぎ去ってみれば、丹下の言う未来の建物は跡形もなく消え去り、岡本の太陽の塔だけが千里丘陵に残ったのだった。あの丹下健三ですら、岡本太郎の前では単なる常識人でしかなかったことが痛快だ。
このことに関連した話を石原氏がした。
「名前は言いませんがね、どこぞの芸術大学の学長のバカが上野あたりの美術館では太郎さんの絵の展示をさせないんですよ。嫌いだからってね」
この学長というのは平山郁夫のことであろう。おそらく芸術に関していえば岡本と平山は対極にあった人だから。
この平山にしても、丹下にしても、常識人としての一面から脱却することはできなかった。薬師寺で見た平山の「大唐西域壁画」の平板でおもしろみのないことよ。それに比べて渋谷駅にある岡本の「明日の神話」
http://www.asunoshinwa.or.jp/map.html
のとんでもなさ。どう見ても、芸術の神は岡本に降りている。
「プライムニュース」でも岡本を「鬼才」と紹介しているが、「鬼才」ではなく「天才」のほうがしっくりくると思う。
番組中、石原氏が岡本の著作を紹介していた。『沖縄文化論』『今日の芸術』などである。もちろん岡本ファンであるワシャの書棚には挿してあるのじゃ。早速、読むことにしようっと。
その他に「カストロ前議長とフランスのオランド大統領の会談」というニュースが流れたがその話は明日のココロで。