昭和天皇実録

 先回の「たかじんのそこまで言って委員会」で京都産業大学名誉教授の所功さんが番組の最後で本の紹介をされていた。『昭和天皇実録』(東京書籍)である。所先生は言われる。「この実録の大切なのは、ご誕生から25年間、今まで出てこなかった部分が非常におもしろい。とくに東宮御学問所で東洋史の泰斗であられる白鳥庫吉先生に世界的な見識を身につけられたのは重要であった」と。

 ワシャは先週末、某新聞社の人と宴を張った。その際に少し時間があったので、いつもの駅前の本屋に立ち寄ったのだ。そこで平積みされている『昭和天皇実録』第一巻、第二巻を見つけてしまったのだ。昨日、来た時にはなかったから今日ならんだということだな。宴席の前なので、ちょっと棚を眺めて時間調整をするだけのつもりだったのだが、ううむ、手から離れなくなってしまった。棚の前で逡巡することしばし。
「ワシャさん」
 と声がかかって我に返った。声の方向を見れば、棚の向こうに今日一緒に飲む友人が立っている。
もうすぐ宴席にはじまる時間になっていたのじゃ。ワシャは『昭和天皇実録』を棚に戻して、友人とともに書店をあとにしたのだった。後ろ髪を引かれたが、何冊か積んであったので次の機会でも大丈夫だしね。

 そして日曜日、所先生が『昭和天皇実録』の話をされたわけだ。
 その途端である。ワシャの警報が鳴り響く。ワシャはあわてて書店に電話をして『昭和天皇実録』を2巻とも確保しておいてほしい旨を連絡した。
 週が明けて、昨日、仕事帰りに書店に顔を出すと、奥さんがこう言った。
「お電話をいただいてよかったです。日曜の夕方から問い合わせがあって、在庫はみんな出てしまいました。版元のほうでも再版は5月以降とのことで、それまでは入手困難ということです」
 ふう、あぶないあぶない。

 さて『昭和天皇実録』の冒頭を。もちろん明治34年(20世紀の始まった年)の4月29日である。
《二十九日 月曜日 東京市赤坂区青山の東宮御所内御産所において皇太子嘉仁親王大正天皇)の第一男子として御誕生になる》
 ここから日本歴史に大きな足跡を残すことになる昭和天皇のご生涯が始まるのである。

 合わせて所先生が『国史』という本を紹介されていた。東宮御学問所で昭和天皇東洋史西洋史を教授するために編まれた教科書であるという。これも読みたいと思ったのだが、まだ今日現在で発行されていなかった。だから旧版ではあるが図書館で借りてきて、今、読んでいますぞ。著者の白鳥庫吉東宮御学問所御用掛文学博士が丁寧で均整のとれた歴史を昭和天皇に伝えられたことがよく理解できる。戦後、極端に偏った歴史教育を子供たちに施した左筋教師たちとは雲泥万里の違いだ。

 年度末から年度当初にかけてはなにかと忙しい。まとまって本を読む時間が確保できないのじゃ(泣)。はやく『昭和天皇実録』『国史』を読みて〜〜と言いながら少しずつ読んでます(笑)。