国名

 昨日、旧国名(以下「国名」と記載)の話をした。「近江」があわあわとして詩的だと触れた。
 では、その他で、響きのいいところはどこだろう。「安房」なんか「近江」よりあわあわしているよねぇ。「伊予」もい〜よねぇ。二文字の国名は「○○守」という名乗りにしたときに五文字になるので納まりがいい。「安房守(あわのかみ)」「伊予守(いよのかみ)」って響きがいいでしょ。
 人気のある国名は「武蔵」「大和」「出雲」。このあたりを支持した人の中には「戦艦」についているからという理由が多い。「出雲」も戦艦に付いている。護衛艦にも「いずも型」というものがあるが、やはり出雲大社知名度に依るところが大きいと思う。
 個人的には、備前丹波、越前、伊賀などが好きだ。このラインナップを見て陶器を思い浮かべた方、そのとおりです。焼き物の名になっている国名なのですね。備前の緋襷(ひだすき)、丹波立杭焼(たちぐいやき)、越前碑器(せっき)、古伊賀など、荒々しいが味わいのある焼物が多い。
 国名を「州付け」で呼ぶのも趣がある。「長州」(長門)なんてめちゃめちゃ有名でしょ。幕末維新で長州藩士が大活躍したおかげである。「長州」と比べると「薩州」(薩摩)はメジャーではない。幕末のヤクザがらみで「甲州」(甲斐)「遠州」(遠江)などのほうが名が通っている。
 
 ワシャの生国は「三州」(三河)である。真ん中に「か」が入っているのであわあわとしていない。かといって強そうでもないのである。画数が少ないし、字義も強い意味を持っていない。見た目、弱そうだと思いませんか。