京王電鉄の中でのできごと

 東京での3日間の時系列がばらばらになっている(謝)。
 立川で午前様になって、それでも翌朝元気に起きてた。朝食をわりとしっかり済ませて、午前9時にはホテルを出る。その日、寄りたいところが2か所あった。ひとつは立川から6駅東京寄りの武蔵境。その駅前に「武蔵野プレイス」という施設があって、そこを見学したかった。もうひとつは、下北沢にある「B&B」という書店である。「武蔵野プレイス」の話はもう少し消化をしてからということでひとまず措いておきたい。

 まずは下北沢の「B&B」という書店
http://bookandbeer.com/
である。武蔵境で中央線に乗って吉祥寺で下車、そこで京王井の頭線に乗り換える。急行で行けば下北沢へ速いのだが、たまたま停まっていた各駅停車に乗ってしまった。まぁそれもいいか。
 吉祥寺、井の頭、杉並区界隈の住人は読書率が高いのだろうか。ワシャの座ったシートの周りに本を読んでいる人が目立つ。電車中央の対面シートは7人7人の14人が座っている。その間の通路に8人が吊革などにつかまって立つ。やや混んでいる。当然のこと、その中でスマホをいじっている人が何人かいる。いつもの風景である。
 ところが驚いた。なんとその22人中9人が本を読んでいる。ワシャは『文庫版東京都地図』を開いているので9人の中にカウントしてある。それにしても電車の中でこんなに本を読んでいる人のいる風景を見るのは久しぶりだ。他にスポーツ新聞をくつろげている男が2人いたので、紙の上の活字を追っている人は11人。一人舟を漕いでいる若者がいたので、都合、スマホをいじっている人間より紙媒体に親しむ人の数が優っていた。
 これは井の頭線ゆえのことなのだろうか。少なくともJR各線、山手線、地下鉄などでは見たことがない。そんなことに感心して眺めていたので下北沢はあっという間だった。

 さて、下北沢の駅である。東西にはしる京王井の頭線小田急小田原線が北東から南西に交差している。駅が2つ複雑に重なっているので、ご当地初お目見えのワシャにはどっちがどっちやらよく判らない。
B&B」は駅の南側にある。にも関わらず北口に出てしまった。もちろんワシャが方向音痴なのかもしれぬ。だけどね、ホントにわかりづらいんですよ(泣)。大きなキャスターバッグを抱えたいたいけな三河のオッサンは、スロープやエレベータ、エスカレータを探し求めて駅構内をさまよったのだった。ホント、東京都下には「人にやさしくない駅」が多い。
 北口に出たということは太陽の方角から理解した。看板もあったけどね(笑)。そこから大きく迂回して、本多劇場の脇道をとおり、なんとか南の商店街に辿り着きましたがな。
 自分の位置さえ特定できれば、その後は早い。すぐに「B&B」(ブックアンドビール)
http://love-shimokitazawa.jp/shops/detail/01582
を路地の角に見つけることができた。
 この店では本を物色しながら、ビールやワインが飲める。ワシャが立ち寄ったのは昼間だったので、さすがにビールは飲まなかったが、この店が地元にあれば毎日立ち寄るわなぁ。
 この店のイベント情報をご覧くだされ。
http://bookandbeer.com/event/
 毎日、何かしらの対談、鼎談、セミナーなどが行われている。この店の詳細は、この店のオーナーでもある内沼晋太郎さんの『本の逆襲』(朝日出版社
http://numabooks.com/ideaink10.html
をお読みください。
 もちろん立地ということもある。下北沢と地方の書店を単純に比べるわけにはいかない。しかし、逆風の強い書店業界で、少なくとも「B&B」は独り気炎を吐いている。紙の本に対しネガティブな情報ばかりを垂れ流す連中への内沼さんの怒りを『本の逆襲』の最終章から引く。
《売り上げが下がるのを業界や読者のせいにして、できるはずの努力や工夫を何もせずに、飲み屋で「出版業界は斜陽産業だ」などとつぶやいてきた大人たちも同罪です。暗いのはあなたの未来だけです。どうか本の未来まで巻き込まないでください。》