文藝春秋

 この間の日曜日、市外のスーパーに行った。そこの2階には書店がある。食料品を買うついでにふらりと立ち寄るのだが、いつのころからか書店のレジがなくなり、衣料品のレジで本を購入するようになった。そのころから本の品ぞろえもガタンと落ちた。
 それでも雑誌などはメジャーなところは置いてあって『文藝春秋』新年号が3冊ほど積んであったので手に取った。買おうと思ったのだが、明日、いつもの駅前書店に「e−hon」で注文した本を取りに行くことを思い出した。書店業界は厳しい。だから、なるべくいつもの本屋で買って応援することにしている。読む本はホントに山ほどあるから、『文藝春秋』の購入を1日先延ばしにしても問題はない。結局、買わずに帰った。
 翌日、「e−hon」から届いた本を受け取りに駅前の書店に立ち寄る。レジカウンターに行く前に、雑誌コーナーを覗く。おや?『文藝春秋』がない。そのままレジに行き書店の奥さんに「『文藝春秋』は出てないんですか?」と尋ねた。奥さんは、まことに申し訳ないといった感じで「ぜんぶ売れちゃったんですよ」と言う。いつもなら10冊以上が平積みになっている。それが新聞の広告を見てから2日くらいで完売か?
「何年か前に半田の南吉記念館に天皇皇后両陛下がお出でになったでしょ。その時に同席したグループの人たちが全部買っていきました」
 ああ、そうですか。それは止むを得ない。それなら他の本屋も当たってみようと、後日、他の書店に回ってみた。『文藝春秋』はここにもなかった。買占めの手はこのあたりまで及んでいるのだろうか(笑)。そんなことはないですよね。やはり特集の「高倉健最期の手記」が販売を促進しているのだと思うが……。
 隣町の駅前に大きな書店がある。隣町に勤める友人に電話をして「1冊確保しておいて」と頼んでみたが、そこにも『文藝春秋』はなかった。友人はもう1軒寄ってくれたそうだがそこにもない。
 最後の手段と「e−hon」で注文してみるが「現在ご注文できません」という無情の青文字が目に染みる。
 父親の代から50年も購入し続けているが『文藝春秋』が入手できないなんて初めてのことだ。
 おそらく週末は『文藝春秋』新年号を求めて三千里の旅に出ることになる。あの時に買っておけば……。
 でも、日記のネタにはなったけどね。