男の本懐 その1

 誰とは言えないが、日本でトップのジャーナリストは月の書籍費が50万円を超えるそうだ。年間600万円、普通のサラリーマンの年収だわさ。知の巨人といわれた立花隆をも凌駕しているだろう。もちろんトーシローのワシャたちはそんなに本が読めないし、そもそも書籍費がそんな潤沢にはありまへん。
 でもね、ある月に20万円本を買って奥さんに叱られたという友人のHさんは豪傑だ。厳密にいうと出版業界に在籍していた方なので素人ではないが、それにしても普通のサラリーマンとしては凄い。
 
 トンでもない事例を2つ挙げておいて、さてワシャの2009年本の買い納めを報告しますね。年末にすべき仕事を全部片付けて、寒風吹きすさぶ中をいつも行っている駅前の書店まで自転車を走らせましたがな。
 年末に大阪で行われた読書会の課題図書『日本の論点』(文藝春秋)が良かった。全編に目を通してみて、確かにこれは仕事の糧になると思える。身近に来春、就職をする若者や、今から就職活動に入っていく若者がいる。彼らにこの本を読んでもらおうと思った。
 書店に入って『日本の論点』を3冊抱えるとそのままレジにいき、カウンターの上にドンと積む。その高さに驚いたのか、書店員は
ワルシャワさん、この間、買っていったばかりじゃないですか。また3冊もどうするんですか?」
と心配そうにきく。
「また3回読むのじゃ」
 と訳の分からないことを言いながら、ワシャはまた書棚のほうに戻る。なにしろ2009年の買い納めだからね。人にあげる本だけでは淋しい。心残りのないように自分用の本も買っておかないと……
(下に続く)