選挙総括

 今回の選挙には問題がいくつか横たわっている。
 まず、日曜日の午後8時以降に映し出される各選挙事務所の様子である。テレビ局のカメラが背後から支援者を映し出すのだが、これが圧倒的に老人たちなのだ。それも男が多い。選挙がまだまだ若い人たちに浸透していない象徴のような絵だった。その結果が戦後最低の52%代の投票率である。いかなかった48%の国民(若者が多いと思うが)は何をしたいのだろう?何をしたくないのだろう?48%の国民が動けば、この国のかたちが変わろうものを、ただ坐しているだけでは、何も変わらない。まず、この無関心が日本の病根だと思う。
 その結果が沖縄で出ている。沖縄の投票率はまさに全国平均の52.36%。無関心層が投票所に出向かなかったために、小選挙区での共産党勝利を許してしまった。ワシャはある一定数の野党は必要だと思っている。ぶれない共産党も批判勢力として存在してもいい。しかし、小選挙区で当選となるとこれはいささか問題であろう。沖縄1区は自民と維新で保守系の票を分け合ったという事情もあるが、支那中国に付け入る隙を与えるのは大きな問題だと言える。沖縄2区もそうだ。全国ではじり貧の社民党小選挙区当選を果たした。これは組織票を動員できる左翼系の強みが出た結果であり、48%の動かなかった県民のせいでもある。国防に直結する話でもあるので、きちんと意思表示しようよ。曖昧なまま左翼勢力に陣地を取られたことは痛恨の極みだ。投票に行かなかった人の責任は重い。

 
 個々の話をしたい。北海道比例区で復活当選を果たした鈴木貴子氏(民主党)である。これはものが悪そうだ。ずっと横に鈴木宗男さんが付きっきりで、テレビのインタビューに答えていた。乳離れ父離れができていない。言っていることも、言い方も父親そっくりで個性が見えなかった。鈴木さんの操り人形になるのだろう。でなければ、政治活動もおぼつかない、そんな印象を受けた。
 東京比例区菅直人民主党)である。ううむ、この人だけには敬称をつける気がしない。日本国に対して深い傷を負わせた罪は重すぎる。この男が比例で復活をしてしまった。いつになったらこの男は自分の罪と向き合うのだろう。
 なんやかやと言われても、鈴木貴子さんと比べると、小渕優子りんのほうがものがよさそうだ。群馬5区で圧勝である。相手が社民党の候補だから当りまえだけれど。
 茨木7区の長岡桂子氏、夫の洋治氏(衆議院議員)の自殺にともない弔い合戦の御輿として担がれて、国会議員になった人。普通の主婦(金持ちの)だと思っていたが、すでに4期目を数える。政界にどっぷりつかってしまったんだね。こういう人でも数合わせで衆議員議員をやれる、というところが政治不信の根幹にあるのではないか。例えば同じ4期目でも稲田朋美さんとは存在感が違うでしょ。
 こういった数合わせ議員について、コラムニストの勝谷誠彦さんは憤りを隠さない。
《今回、選挙区を回ったことはまことに勉強になった。私が応援した候補者たちはよくやっているが、テレビで観る他の方々は「ナメてんのか」である。有権者もそうだよ。どこまで政策論議をやっているのか。》
 さて愛知県である。
 1区は河村名古屋市長のまさにお膝元であるが、さすがに「減税」のお札も効力を失った。なにしろ看板である河村さんに説得力と求心力がないのだから、共産党の候補にも負けてしまう。
 それに比べ12区の重徳和彦氏である。いろいろなところで話を聴いているが、この人はものがいい。数合わせ議員ではなく、きっちりとしたビジョンを持っている人物である。出たがりくまモンがいなければ愛知県知事だったのに(泣)。そうすれば大阪と愛知で大きな波を起こせた可能性は高い。でもね、今、橋下市長と連携をして選挙区で勝ち残ってきた。今後の活躍に期待しよう。

 ある選挙区の候補者の当落について。小選挙区で当選したA候補と、落選したB候補の違いは何だったのか。たまたまどちらの候補も知らないという人が言っていた。
「顔と名前の違いくらいしか判りませんでした。でもA候補に入れました。それはJR駅前で辻立ちをしているところを3度ほど見かけたからです。B候補は見たことはありません」
 選挙の神様の田中角栄は「とにかく辻立ちをしろ」と言っていた。案外、当落の差はそんなところかもしれない。