覚悟なきものは去れ!

 覚悟のない者を国会議員にしてしまう現在の選挙システムは間違っている。

 第44回衆議院議員選挙(平成17年9月11日施行)、比例南関東ブロックでドベ2当選した杉村太蔵氏である。彼の動向はおもしろおかしく報道されたので周知のことだと思うが、彼の覚悟のなさは見ていられなかった。彼は国会議員になったことで舞い上がってしまう。
 その後の代議士としての4年間は、おそらく健全に平穏に過ごすはずの人生を棒に振らせるという結果に終わってしまった。今でもタレント活動をしているようだが、元の証券会社で堅実に働いていたほうが杉村氏にとってどれほどよかっただろう。
 第45回衆議院議員選挙(平成21年8月30日施行)の比例東海ブロック民主党の雪崩のような大勝利に大山昌宏氏、磯谷香代子氏が当選した。この二人も民主党の大勝利を予見した当時の小沢一郎民主党代表代行が、急場しのぎに立ち上げたダミー候補と言っていい。
 とくに磯谷氏のほうは、民主党参議院議員谷岡郁子氏(現在は無所属「みどりの会」)が、候補者名簿に登載しても問題が生じない「無職」ということだけで、白羽の矢が立て、その結果、見事に最下位当選をはたしたいわくつきの人物である。
 大山氏はその後、小沢一郎とともに「国民の生活が第一」党に移った。その時の決起集会だったかなぁ、チラッとテレビに映っていた。磯谷氏については、この3年余まったくの動向が見えない。民主党にしても「1票」という役割以外期待していなかったのだろう。
 残念ながら彼らはなにもすることなく――いろいろな場面で1票としての役割を果たしたのみで――国会を去る。4,000万円を超える年俸(各種の手当も含む)、秘書の給与まで入れれば億という税金に見合う仕事をしてきたと胸を張って答えられるかどうか。
 もう次の選挙に出るなどという暴挙だけは止めてほしい。静かで堅実な人生を取り戻すことが大切だ。

 と、ここまで書いてきて、新聞をくつろげた瞬間、腰を抜かした。
 磯谷香代子さん……比例区から選挙区に移って衆院選に立候補するんだとさ。

 なにをやっているのだ。

 ようやく国会議員のバッジを外すことができたのだから、ヤクザな生活から足を洗い、平穏な人生を取り戻すために3年間の間に貯めた金で身を立てなければならないときでしょ。
 ミイラ輿石に乗せられてどうするの。覚悟もなく選挙区から立候補してなにをしようとしているのか。
 任期中になにもしてこなかった人間が、次になにかできると思っているとするなら、大きな間違いだ。
 馬鹿な真似は止めておけ。

 公示前なのであえて言っておく。