夢の話

 夕べ、友だちと某所で飲む。あ〜楽しかった。
 カウンターで飲んでいると、大将から「秋刀魚食べませんか」と声がかかる。「いただきます」ということで、出てきたのはこんがりと焼けた太い秋刀魚。箸を入れてみるといい脂がのっているではあ〜りませんか。これほどの秋刀魚はスーパーではお目にかかれない。内臓までぜ〜んぶ平らげて、皿に残った猫マタギの残骸は、うれしそうな大将に引き取られていったのだった。めでたしめでたし。
 午後9時過ぎまで飲んでいた。帰宅して、そのまま床に入った……ような気がする。そのあたりはよく覚えていないのだ。どんなに酔っていても歯は磨く。それは間違いないのだが、その他のことは記憶に残らない。だから10時半ごろには寝ついたと思う。
 起きたのは午前3時20分、これは間違いない。酔いが醒めているので、記憶にきっちりと定着している。5時間の睡眠か……。ワシャはもともとが長眠者体質なので、5時間程度だと、日中に眠くなる。昔は飲むと爆睡し、目覚ましが3つ鳴っても目を覚まさなかったものだが、年齢を重ねるというのは辛いことでゲスな。
 前夜も午前3時に起きている。仕事の日だったので、もう寝るに寝られない。だから起き出してしまったのだ。
 しかし今朝は違った。今日は仕事でなく、予定も入っていないので、気が楽だった。目が覚めて、枕元のペットボトルで水分補給すると、トイレに行ってまた布団にもぐり込んだ。「なかなか寝られない」と意識は思っている。布団の中で何度も寝返りをうったりしていた。ふと時計を見ると4時半になっている。1時間が経っていた。でもね、その1時間に長い夢を見ていた。浅い眠りなのだろうけれど寝ていたんだ……そんなことを考えながら、ふと時計を見ると5時半だった。おおお、また1時間の間に、前の夢の続きを見ていましたぞ。これが完全に連続した話だったので驚いた。驚きながら、ふと時計を見ると6時半になっている。外も白々とし始める。げげげ、またこの1時間で夢を見た。これまた前の夢の続きで、連続三部作の大作になっていた。
 結局、うつうつとしながら3時間も夢を見ていたのである。夢を見ていたということは、浅かろうが眠っていたということなので、トータルで8時間の睡眠ということになる。ううむ、目覚めはよろしい。

 さて、夢の話をしたい。
 主人公は司馬遼太郎さんである。なぜか司馬さんが井上ひさしさんと連れ立って、我家を訪ってくれた。我家の居間に通し、お茶などを出す。その他にもうちの社長だったり、国会議員の顔も見える。しかし、なんといっても司馬さんである。ワシャはしきりに写真を撮らせてくれと頼むのだが、司馬さんは談笑しながらも、了承してくれない。その内、食事の時間になったので、司馬さんたちは、丼に入れた白米に、海藻や野菜を煮詰めとろみをつけたような茶色のあんをかけて「うまいうまい」と言いながら食べている。
 司馬さんは現在のワシャの家から、以前に住んでいた家の居間に移っている。そこで子供2人とともにテレビを見ている。井上さんはいつのまにか消えていた。テレビは「街道をゆく」で、司馬さんが案内人となって各地を巡る旅ものだった。舞台は台湾のようにも見える。司馬さんとワシャの前で子供が見ているのだが、ツバの広いキャップをかぶっているので画面がよく見えない。ワシャはイライラして「帽子を取れ」と言うと、子供たちがキョトンとこちらを振り返る。ワシャは手元にあった印籠をかざし、
「え〜い、この御方をどなたと心得る。畏れ多くも司馬遼太郎先生にあらせられたてまつります」
 何を言っているのか(笑)。とにかく子供を威圧しようとした。だが、子供たちはそんなことは意に介さず、笑っている。それがよほど面白かったのか、司馬さんは腹を抱えて笑っている……というような話が延々と続くのだった。面倒くさいのでこのあたりで止めておきますね。