ワシャの町の高校に通うお嬢さんが御嶽山の火口近くで犠牲になってしまった。高校3年生17歳というのは、長い人生のとば口に立ったばかりではないか。新聞に掲載された優しそうな笑顔を観ていると、神様は無情だと思わざるをえない。
通勤時にその高校の制服のお嬢さんたちを見かける。もしかしたらどこかですれ違っていたのかもしれぬ。何の縁もないけれど冥福を祈りたい。
山小屋に避難した人が撮影した恐怖の映像がテレビで流れている。最初は窓のすりガラスが外光で明るく見えていた。その後、すりガラスの向こうに何本もの黒い影が立ちあがった。ワシャにはその揺らめく筋が御嶽の登山者に迫る禍々しきものどもに見えて仕方がない。影は刻々と勢いを増して、瞬く間に濃く、そして広がっていく。もう窓は黒いカーテンを引いたように遮光され、山小屋の中は真っ暗になる。その頃から砕石が屋根に衝突する凄い音が連続して続く。おそらく大きな石がそれこそ雨あられのように降っていると思われる。この状況に外で遭遇することは、かなり厳しい。屈強なベテラン登山家でもなす術もなかったろう。
無責任な評論家たちは「登山者の安全を守れ」と声高に言っているが、これはいささか難しいのではないか。なにしろ気まぐれな神々が相手なのである。せいぜいシェルターを何箇所かに設置する程度のことで、「予知」などというものはまだまだ研究を進めなければ出てこないだろう。
それほど日本列島とは危険地帯であるということで、登山者の安全すら確保できないのに、原発の再稼働など始めっちゃっていいのだろうか。