胃がそこにある

 ここ2年くらい胃の調子が悪い。健康であれば、空腹・満腹時を除けば胃のことをそれほど意識して生活をすることはないでしょ。でも、ワシャの場合は、胃はつねにそこにあるのである。痛みというのではない。胸やけというか違和感のようなものですな。それのお陰で胃が身近に感じられる今日この頃なのだった。
 病名はわかっている。「逆流性食道炎」である。薬も処方されている。しかし2年の間、その胸やけが治まったことがない。だから暴飲暴食は避け、咀嚼する回数も増やし、食事の直後は横にならず直立不動で本を読んでいる(笑)。薬もきちんと飲んでいるのだが、直らないんですね。めんどくさいなぁ。
 そんなわけで暴飲暴食ができなくなった。そのため体重がピーク時の10キロ減で、ウエストは9センチも細くなった。2年前以前につくったズボンは全部ガバガバで履けなくなった。数センチまではサスペンダーでごまかしていたが、9センチともなるとなんともならない。

 先日、かつて一緒に仕事をしていたシンクタンクの所長に本社でばったり出会ったのだ。どうだろう10年ぶりくらいかなぁ。久しぶりの再会にお互い手を取らんばかりに喜んでいた。近況を報告し合って、その後で彼の顔がくもった。
ワルシャワさん、ずいぶん痩せたよね」
 おそらく彼の記憶にある最後のワシャは今より10キロも太っていたわけだから、当然の反応といえばそのとおりだろう。
「祟りでね」
 と混ぜっ返すと、ワシャのことをよくしっている彼は破顔した。
ワルシャワさんでも祟られるんだ?」
「うん、だから今ね、陰陽師を頼んでいるんですよ」
「それなら大丈夫だ。お祓いが済んだら名古屋で飲みましょう」
「了解」
 どうでもいい会話なのだが、お互いを認め合っている人物とのコミュニケーションは楽しい。ふっと安らぐ瞬間だった。

 ワシャは今の医療をあまり信用していない。ワシャの例がいい例で、胸やけひとつ治せないのである。モノモライができたんだけれど医者に通って1カ月にもなるのだが、まだ治癒しない。ワシャは顔が命なんだから(笑)なんとかしてくれ〜。

 だけど変なところで医療は幅を利かせている。今回の御嶽山の噴火でも「死者12人、心肺停止24人」などという不明瞭な言い方が横行した。噴火したのは27日である。それから死亡者数がなかなか出なかった。「心肺停止」という状態は30日の段階で24人と発表されている。心臓が止まり、呼吸が途絶えて3日も経っているのだが「瞳孔散大(対光反射消失)」が医師によって確認されていないので「死者」にはなれない。
 昔は坊さんや陰陽師が死者を送ったものだが、現在は医者に診てもらわなければ
あくまで「心肺停止」状態でということで彼岸には行けない。面倒くさい時代になったものだ。