ムックリの脅威

 大相撲、新入幕の逸ノ城(いちのじょう)が大関二人と横綱鶴竜を呑みこんだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140927-00000007-asahi-spo
 すごいな。未だ髷も結えていない新米なのに、大関が格下力士に見えてしまうほどの大物ぶりを見せている。朝青龍に始まって、白鵬日馬富士鶴竜……もう横綱はモンゴル人の指定席なった。そこに白鵬すら倒しかねない逸ノ城が駆け上がってくる。大相撲に日本人横綱はもう望むべくもない。

司馬遼太郎の街道3』(朝日新聞出版)が店頭に並んだ。もちろん速攻で購入する。今回は「龍馬 脱藩のみち」「官兵衛 播州から中津へ」。おっと扱いが小さいけれど「モンゴル紀行」も取り上げられている。その章の写真がなかなかいい。
 草混じりの砂漠を二人のモンゴル力士を乗せた古いオートバイが疾駆している。二人とも厚い胸板、筋肉で太い四肢、鉈で削り上げたような目をもつ典型的なモンゴル力士である。こんな男どもが大きな馬に乗って砂塵を巻いて攻めてくる。立ちはだかるものは根こそぎ叩き壊して前進する。蒙古軍の進撃に容赦はない。これは怖ろしかっただろう。中原の漢民族ばかりではなく、西方の民族も、さらに西のヨーロッパ人も、東の朝鮮民族も、その東の日本人も、みんなムックリの恐怖におののいた。

 もう大相撲はモンゴルに制覇されてしまったのだった。