気になった番組

 昨日、東海テレビで「ニュース男子決定戦!〜男は知識で勝負する〜」が放映された。午後4時からの番組なので、録画をして、「軍師勘兵衛」の後で見ましたぞ。
 論陣を張るのは、勝谷誠彦百田尚樹堀江貴文長谷川幸洋の各氏。進行役の大谷昭宏氏と中部大学の武田教授はいらなかった。議論の最中でも邪魔なだけで、もう少し仕切りのできる青山繁晴さんとか、宮崎哲弥さんあたりでないと議論がトントンと進んでいかない。

 番組スタイルは「たかじんのそこまで言って委員会」や「たかじんNOマネー!!」の三番煎じ。でも、こういった本音のところが語られる番組が増えてくることは悪くないと思う。
 ここでいい役回りというか、「そこまで言って委員会」で田嶋陽子氏の立ち位置をキープしていたのが、東海テレビ本仮屋リイナアナウンサーだった。
「ニュース男子」の1回目を見ていないワシャは、この女子アナのキャラクターを知らなかった。というか、女子アナであることすら知らずに見はじめた。
 冒頭に並べた論客から「可愛くてちょっと気になる美女」たちに時事ネタについて、わかりやすくプレゼンをしていくという番組企画で、その美女の中に本仮屋アナは交じっていた。
 聞き役の美女たちのラインナップは、「NOマネー!!」の司会の眞鍋かおり、妖艶なお姉さまの杉本彩、その他の2人は見たこともない若い娘、そして末席に本仮屋アナが座っている。

 話がずれるけれど、眞鍋さんの仕切りはうまいなぁ。フガフガ言うだけでなんの役にも立たない大谷氏よりも、眞鍋さんのほうが進行をしっかりと担っていた。次からは眞鍋かおりがメインでいいんじゃないの。

 おっと、本仮屋リイナであった。
 ワシャは人相を観るものである。このお嬢さん、元「ミス青山学院」かなんかで、自分の美貌にはおそろしいほどの自信を持っていることがその表情から読み取れる。口角の上げ方など三田佳子の作為的な笑みをほうふつとさせましたぞ。それにしてもこの娘、眼が笑っていなかった。眼が笑っていないというのは、他者によくわかるんですね。「ああこの人、本心から笑っていないんだ」と見透かされてしまう。残念ながら、この人の眼にも人を馬鹿にしているような光が宿っていた。このお嬢さん、気を付けないと、年齢を重ねるにつれ嫌らしい顔立ち変化していくことになる。
 そんなことを読み取りながら、番組内の出演者の話を聴いていると、このお嬢さん、前回、勝谷さんに叱られたらしいことがわかった。ふ〜ん、そういう発言をするんだ。

 番組が「集団的自衛権」に及んだ時、百田尚樹さんが、「日本が戦わないのに、アメリカは自国の若者たちの血を流してまで日本を守ってはくれない」という至極あたりまえの議論を展開した。それには勝谷さんも同調する。そうすると、本仮屋アナの手が挙がる。
「戦うこと前提で話が進んでいると思うんですけど、そもそも武器を捨てて戦わないという選択はないんですか」
 おまえは田嶋か!これに対して、勝谷さんがズバッと答える。
「ないです」
 しかし本仮屋アナ、ひるまない。
「何度も何度も歴史上戦争は繰り返されてきて、また同じことをして幸せになる人はいないと思うんですけど」
 ここで、百田さんが言う。
「それは理想」
 それをさえぎるように本仮屋アナ。
「なんか新しい、進歩するために……」
 ここらあたりから武田教授が口を挟みだして、議論が混乱しはじめる。しかし本仮屋アナめげずに食い下がる。
「でも、だからといってやられたらやりかえすって……子供の喧嘩の……」
 竹田教授の声が邪魔をして本仮屋アナがなにを言っているのか、テレビでは聞き取れない。肉声では分かったようで、百田さんは、こう問うた。
「じゃぁやられっぱなしがいい?」
 そして畳みかけるように、
「じゃあどっちか?やられっぱなしがいいか、なんとか抵抗するのがいいか?」
 と選択を迫る。
 これには、本仮屋アナも言葉に詰まり、唇をゆがめた。屁理屈が破綻した瞬間である。武器を捨てるということが、一方的にやられるということなのだということに気がついたんですね。
 戦争というから話が遠くなるのだが、これを「強姦」と言い換えれば判りやすい。6月17日に千葉県市原市で女子中学生が連れ去られそうになった事件があったでしょ。男は「先のとがった刃物」のようなものと「暴力」を使って女子中学生を拉致した。この状況で「やられっぱなし」でいいのかということなのである。偶然に対向車が来たことと、隙を見つけて車から逃走するという「抵抗」が功を奏した。対向車が来ず、なんの抵抗もしなかったとしたら、結果はどうなっていたかわからない。
 話を元にもどす。
 ここで行き詰った本仮屋アナは、百田さんの質問を質問で返すという挙に出た。
「じゃぁ百田さんは人を殺せますか?」
 嗚呼、ついに極論に走ってしまった。負けず嫌いなこの娘、今までやり込められそうになると、極端な発言で相手に斬りつけて黙らせてきたんだろうね。
 しかし、相手が悪かった。百戦錬磨の百田さんなのである。百田さん、まったくひるまず、こう断言した。
「自分が殺されそうになったら殺します」
 これに対して、女子側の杉本彩も「私もそうですよね」と相槌を打った。本仮屋アナの完敗である。
 勝谷誠彦百田尚樹が相手である。ディベートの手段としては稚拙だが、質問返しも仕方がないと思う。それが極論の切り返しであってもやむを得ない。でもね、このアナウンサー、やってはいけないことをモニターに映されてしまった。「人を殺せますか?」という究極の質問に際し、口元に笑みを浮かべたのである。笑いながらこの質問を放ったのだ。
 百田さんが「自分が殺されそうになったら殺します」と答えた時、その質問をされる前までは百田さん、時折、笑顔を見せながらしゃべっていた。しかし、この質問を受けて、この時ばかりは笑顔を消して真剣な表情でこの言葉を口にした。
「人を殺せるか」という厳しい質問を放つ時、それに答える時、どんな状況であれ、そのことにいついては真摯に口にしなければなるまい。

 考え方はいろいろあっていい。百田さんのような考え方もあれば田嶋さんのように思う人もいる。しかし、言葉は慎重に使う必要がある。とくにアナウンサーという言霊をあつかう職にあるのだ。「言い負かされそうになったので口走りました」「いつも笑顔をばらまいているので笑っちゃいました」ではことは済まない。