勝谷さんを無きものに

 日曜日、「たかじんのそこまで言って委員会」に司会のやしきたかじんさんが復帰した。少し痩せたように見えるが、発言は相変わらず元気そうなのでホッとする。たかじんさんが戻って番組も華やいだものとなった。視聴率もよかったようだ。
http://hochi.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20130326-OHT1T00007.htm

 さて、その日の2番目のテーマが「今のテレビは大丈夫か」だった。その際に、金美齢さんが「今のテレビは偽善」と発言された。仰るとおりで、CMを大々的にうつ企業に対して、テレビをはじめとするマスコミは極めて腰が引けている。
 コラムニストの勝谷誠彦さんの昨日のメールでも「CMに対して妙にカネ払いのいい業界は怪しい」と書いておられた。かつてのサラ金、電力会社、自動車会社、パチンコ屋など大口広告主を正面から批判するテレビ局を、ワシャは寡聞にして知らない。まさに「偽善」なのである。
さて、そのことをテーマにかかげパネラーに言わせる読売テレビはご立派か?少なくとも長年にわたって「たかじんのそこまで言って委員会」を製作してきたことは評価してもいい。
 しかしである。そうであるにも関わらず番組は、安倍首相、たかじんさんとともに温泉に入った勝谷誠彦さんがいたことを頬かむりして無かったことにしている。尖閣には、軍事評論家の井上和彦氏とともに勝谷さんも行っているではないか。井上氏がゲストに来ていて、尖閣にむかう船内の映像を流しているのに、同行した勝谷さんには触れない。それは読売テレビの偽善ではないのか。
 後半では、故三宅久之氏の奥様も登場された。三宅さんが番組を支えてきてくれたことに対し、たかじんさんが涙ながらに感謝の言葉を述べると、会場は感動の渦に包まれた。それはいい。それはいいが、三宅さんが博学をほめていた勝谷さんのことになぜ触れない。たかじんさんが弟のようにかわいがっていたパネラーがいないことをなぜ話題にしないのか。視聴者としてとても違和感を覚える。
 たかじんさんばかりではない。司会の辛坊さん、津川さん、金さん、宮崎さん、加藤さん、竹田さん、誰も勝谷さんの不在に触れようとしない。せいぜい、田嶋陽子さんが、名前を出さずにかつての右隣の存在を臭わせたくらいである。
 それほどまでに勝谷誠彦さんが「たかじんのそこまで言って委員会」に関わっていたことを隠す真意はなんだろう。そのことを明らかにしなければ「委員会」は何を言っても偽善にしか見えないと思う。