え、まだこんな風習が残っていたの?
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140520-00000575-san-soci
「ボンタン狩り」なんて昭和の遺物かと思っていましたぞ。でも事件に「LINE(ライン)」なんぞが介在するのが現代風と言えるのかもしれない。
それにしても「LINE」に「つぶす」と書き込んだほうも書き込んだほうで、「うどん屋の釜」みたいな言う(湯)だけの根性なしだなぁ。「つぶす」などと書くならば「こっちも狙われるかもしれない」というある程度の覚悟、緊張感は必要だろう。結果として、偉そうなことを「LINE」に書き込んだほうがボコられてしまったわけだが、口先ばかりで格好悪いことこの上ない。
しかし「ボンタン狩り」と聞くと高校時代のことを思い出すなぁ。
ワシャがピカピカの1年生で校門をくぐった時、やっぱり3年生は怖かった。番長たちはみんなボンタンをはいていたものだ。昨日まで中学生だったワシャらとは人生経験も体格・体力も圧倒的に違っている。2年生にはそれほどの差を感じなかったが、それでも3年生の威を借りて、いろいろといじめてくれはりました(笑)。
それから一年が過ぎ、3年生は卒業していった。残ったのは2年生の皆さんと一年間いじめられて修業を積んで体格もよくなったワシャら1年生だけである。
緒戦は卒業式の終わった翌日の校庭での全校集会で起きた。ワシャの仲間のKが「スニーカーを取られた」と言い出した。足元を見ると上履きをつっかけている。
「上履きで外に出ちゃいけないんだぞー」
と仲間で冷やかしていると、
「2年のあいつがオレのスニーカーを履いている」
とKが言い出す。
「マジかよ」
似たようなスニーカーをみんな履いていたからね。
「いや証拠がある」
Kは自信ありげにそう言って、その証拠を仲間にささやいた。
Kのスニーカーを履いていたのは2年生の不良グループの一人だった。全校集会中に1年生数人がその先輩を取り囲んだのだった。
「先輩、そのスニーカー、先輩のっすか?」
突然の後輩たちの行動におどろく先輩は、何を問われているのかも理解できないらしい。
「K、よく見ろよ。間違っていたじゃすまされねーよ」
Kは先輩の履いている上履きをじっと見ていてこう言った。
「間違いない、ベロのところに○が書いてあるだろ、オレ、名前の代わりに○を書いておいたんだ」
「オマエな、スニーカーにへんなマークを書いてんじゃねぇよ。それに〇を書くぐらいなら名前を書け!」
「わかった、今度からそうする」
2年生が1年生にからまれていることはすぐに分かりますわなぁ。2年の元気のいいのやら、教師たちがわらわらと集まってきて騒動になりそうだったが、指導部が間に入ってその場は事なきを得た。
その後である。全校集会が終わって非常階段の下で寛いでいると、仲間が注進にやってきた。「NとKが渡り廊下で靴泥棒を締めあげている」というのだ。
Nというのは、1年のワルの中でもトップクラスの男だ。で弁は立たなかったが、決断力、行動力、度胸では群を抜いていた。
「こいつはちょいと大事になりそうだな」
と思った。どこかで1級上を締めてはおこうと思ってはいたが、少しタイミングが早い。高校全体を制圧するにしてもタイミングというものが必要なのである。
「今はその時期ではない。あまりこじれないうちに仲裁しておこう」と、ワルシャワ君は渡り廊下にいそいそと向かうのだった。(つづく)