福井大学の就活

 先週末のNHKの「ナビゲーション」で、福井大学の就職活動の実態を放送していた。タイトルは「就職率1位!福井大学保護者注目の戦略」である。下のニュースを見ていただくと判るけれど、
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/school_education/45183.html
就職率95.8%を誇っている。すごい。
 番組を見ていて思ったのは、学生の就職を支える就職支援室の考え方が柔軟だなぁ……ということである。
 例えば工学部系の学生がいる。当然のことながら技術系の就職を目指す。しかし、なかなか企業から内定をもらえない。当然のことながらだんだん自信を失っていく。そんな時、就職支援室のスタッフがその学生のアルバイト先を訪問する。お酒を提供するバーのようなところだった。そこでスタッフは件の学生の仕事ぶりを見て、「これは営業職に向いている」と看破する。そして技術系から営業系に方向を転じさせることで、見事に内定をゲットした。
 ワシャが見ていても、その学生さんは営業向きだなと思うくらいいい笑顔を見せる青年だった。その素材を技術畑で埋もれさせるのではなく営業で花開かせたほうがいいと思う。
 番組の中で就職支援室の室長がいいことを言った。
「適正というものがあって、必ずしも明るい前向きなタイプがいいばかりではないんです。例えばリーダーシップの強い社長の会社なんかだと、そういったタイプは衝突してつぶれてしまいます。むしろ控えめでおとなしいタイプのほうが社長とうまくやることができて長持ちする、そういうことが往々にしてあるんです」
 確かにそのとおりだと思う。社長や会社は数多あって、社風だって様々だろう。ユニ黒のような「ブラック」にだって適合する社員はいるわけだからね(笑)。
反面、まともな会社や官公庁でもメンタルな理由で休職をしている社員、職員が少なからずいる。それはワシャの凸凹商事も例外でなく、昨日までいた社員が突然いなくなるなんてことが結構ある。
 もう退職してしまったが、当時の人事系の役員が、飲んだときに人事の要諦をこう豪語していた。
「会社の仕事なんて、誰でもできるんだ。どこの部署に配置されようが、どの上司の下にいこうが、それほど難しいことじゃない。やればできる」
 この発言は、福井大学の対極にあると考える。人間はそれほど単純じゃない。歯車じゃないんだから。はめ込まれれば、どこでもだれとでも巧くやっていけるわけがない。適材を適所に置く。そこを間違えれば組織は必ず脆弱になっていく。
 この役員の手際を何度か見せてもらったが、じつにつまらない人事であった。情実優先、年功序列、その人事担当役員の代わりだけは「誰でもできるんだ、それほど難しいことじゃない」と思ったものである。

 組織は人でできている。今ある人を有効に使ってこその人事である。福井大学は、そういった意味から実に先導的なことをしていると思う。ぜひ、我が社の人事担当にも薦めたい。う〜ん、ライバル会社に先をこされるかも(笑)。