フットワークだけはいいのじゃ

 昨日のことである。
 朝、支店に出勤すると、来年度の営業予算のことで、とある営業支出項目について本社の財務部から「ノー」が突き付けられていると、部下から報告があった。それはワシャが一押しの事業だったので、急ぎ対策を立てて、部下を引き連れて本社へ乗り込んだ。財務の担当とやり合って予算復活を確約させ、支店にもどった。
 支店は昨日から棚卸に入っていた。営業品目60万点の総点検をやっているのだ。支店じゅうが大わらわである。それらの指示を出し、決裁を済ませ、業務報告を受ける。この業務報告で人的なトラブルがあったことを知る。時間は刻々と過ぎていく。
 午前10時から本社で社外役員の会議が開催されるので、今はそれが最優先なので、トラブル案件はひとまず措いておいて役員会議の資料点検をする。そうこうしているともう定刻である。あわてて資料を抱えて営業車で本社に向かう。
 社外役員会議を終え、支店にもどると、財務部から先ほどの案件について電話が入っていた。「課長の了承が得られない」とのこと。朝一番に説明した内容の詳細な部分でつまづいたんだそうな。
 部下とともに3度目の本社。対応は車の中で打ち合わせる。この日2度めの予算折衝にゆく。そこでもう一度「了承」を取り付ける(めんどうくせーな!)。その折衝中、部下に管理部門に電話を入れさせて、部門の課長の予定を押さえておいた。財務的な話がまとまったので、その足で隣のビルの管理部門に行く。そこで人的トラブルの説明をして、管理部門としての対応を迫る。こういうときに部下には冷静な説明に終始させ、ワシャは硬軟織り交ぜて強面交渉をする。一応の納得をみたので、手打ちとなった。その時、すでに昼を回っていた。
 午後、支店にもどりこまごました業務を片付ける。ワシャの出番は終わっているが、社外役員会議は続いていた。それが終わり次第、役員会長、副会長への某案件についてのレクチャーがあり、その下打ち合わせのために4度目の本社入り。関係課でレクチャーの打ち合わせをしていると「社外役員会議終了」の一報が入ったので、資料を持って役員会長室に移動。約1時間のレクチャーを済ませた。
 時計を見ればもう一つ仕事がこなせそうだ。運よく資料も鞄に入っている。部下を誘って、営業本部長のところへ行き、12月後半から展開する新規事業の説明をする。本部長からはそのからみで次の仕事の指示が出たので、すでに営業時間を過ぎていたが、その関係の課長と打ち合わせを済ませて支店にもどった。
 やれやれ忙しい一日だったわい。
 もどった途端だった。管理部門の課長から電話が入った。午前中に協議をした人的トラブルの話だった。「一応の展開があった」とのことで「今から打ち合わせができないか」と言う。
「へいへい、いいですよ。何度でもおじゃましまんがな」
 ということで、部下とともに、もう何度目か覚えていないけれど、本社に向かうのだった(笑)。