今朝の朝日新聞から

 1面である。「東北楽天 初の日本一」見出しが躍っている。いうまでもないですよね。星野仙一監督率いる東北楽天イーグルスが日本一に輝いた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131103-00000059-mai-base
 いやぁよかった。一昨日、マーくんで敗けた時にはどうなることかいなと思っていたのだが、最後の最後でまたマー君が見せてくれた。1発くらったら同点というピンチの9回表、昨日に引き続きの登板である。これをみごとに斬って取り東北の底力を見せてくれた。それにしてもここで田中を起用する星野監督の度量に感服する――今季中日を率いたぼんやりした監督では絶対にできない采配だ――このことについて名将はこう言っている。
「考えられない継投だけど、田中がどうしても行くと。最後は田中がふさわしいということで託した。私のことはどうでもいい。選手たちは私の罵倒によく耐えた。12球団で一番過酷な中で、選手たちは東北に日本一をプレゼントしてくれた」
 星野監督の著書を何冊か持っているが、その中の一冊『やれるだけやったらそれでいい。』(PHP)から引く。
《監督時代、自分自身で決めていた原則が2つあった。選手なら、選手会長、キャプテン、中心選手を。控えの選手よりもレギュラー選手を。コーチならヘッドを。給料の高いものほど強く叱ること。そして、もうひとつ。叱った分、そいつには、再度のチャンスを必ずあたえてやるということだ。》
 星野監督、罵倒からパワーを生み出すその力量に脱帽した。
 東北の皆さん、おめでとうございます。

 高倉健さんが文化勲章に輝いた。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131103-OYT1T00448.htm
 名優ではないけれど、大俳優の受章は映画界にとって吉報である。
「前科者ばかりやってきたんだけど………一生懸命にやっていると、ちゃんと見ていてもらえるんだなぁと」
 インタビューに答えて、しみじみとこう言った。よかったですね、健さん

 いい話はここまで。ここからは眉をひそめる記事。

 朝日新聞「声」欄に「戦争の悲劇知らぬ世代が怖い」という投書が載っている。内容を要約すると「戦争の実態を知る世代が年老いている。日本を戦争へと向かわせるような発言をいとも簡単にする政治家を見て、そのことを強く感じる。バーチャル空間で人の命があっさりと失われるゲームやテレビに慣れている若者にとって、戦争反対の叫びは急遽に響いていないか。私は軍国主義の時代とその後の混乱を知っている者として、次の世代を憂いている。今、戦争への道を歩もうとしているかのような国の針路は国民が望んでいるものだろうか」というもの。
 投稿者は75歳の栃木の方。ほう、75歳ということは昭和13年の生まれですな。終戦時に6歳か7歳でいらっしゃる。はたして年端のいかない子供が、戦争のなんたるかを、理解しえただろうか。ワシャの叔父たちは投稿者よりも上の世代だが、愛知県という空襲のひどかった土地にあっても、子供にとっては戦争は皮膚感覚でわかるほどには身近ではなかったという。確かに栃木でも空襲はあった。宇都宮が爆撃されたのである。しかし、それをもって「戦争を知っている」と言われてもねぇ。
 また「軍国主義の時代も知っている」と書いているが、尋常小学校に就学したかしないかの子供に軍国主義の何を理解できたのだろう。ものごころつくまではなにも覚えていませんよね。ものごころがついたって「八紘一宇」とか「学徒動員」とか「一億玉砕」なんて言葉は理解しようにも理解できるものではない。この人が戦時中にどこで「軍国主義」を知っていたのか、いかにも眉唾だ。
軍国主義を知っているなんて言っていない。軍国主義の時代を知っていると言っているのだ」
 と言うのだろうけれど、でもね、それは軍国主義の時代に生きていたということだけで、偉そうに時代を知っているということにはなるまい。例えていうなら、東日本大震災で大混乱をきたした時期に、東京の世田谷区で6歳の子供がどれほどリアルにあの大災害を意識したのだろう。その時に被災地にいなければ、直後に被災地に行っていなければ、その後の情報に詳細に触れ、それをきちんと消化していなければ、具体的なイメージなどわくものではない。
 はっきり言うと、この人の「軍国主義への理解」は戦後の左翼教育によって醸成されたものであるということなのだ。そんな偏向教育で身についたものなど、現在の若者の知識と大差ないものである。
「今、戦争への道を歩もうとしている」と言うけれど、どこにそんな痕跡が見当たるのだろう。聞こえもしない軍靴の響きといい、この方たちの妄想は凄い。しかし考えてほしい。一時期二百数十名もいた社会党議員団は、今は社民党と名を変えて5人になってしまった。一部のカルトな方以外の国民の支持は得ていない、これが軍靴の響きが聞こえる方々の現実なのだと思う。