極端にはしることの危険性

 イオンが「週刊文春」を系列店舗の売り場からすべてを撤去させたんだとさ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131010-00000002-mai-soci
 ご苦労なことですな。むしろそんなことをしたために、逆に注目を集めてしまった。ワシャですら、仕事帰りに本屋に寄って買ったくらいですから。いつもですけど(笑)。
 イオンが不快感を示した記事は《「中国猛毒米」偽装 イオンの大罪を暴く》というものである。内容を要約すれば、「イオンをはじめとする巨大量販店の利益追求のあおりを受け、納入業者はコストを抑えるために安価な支那中国産に走る。このために消費者が危険に晒されている」ということ。米の納入業者の中に、かの「三瀧商事」が入っているのだから、イオン側としても、中途半端な言い訳はできまい。だが、「すべてを店頭から消してしまえ」は少々過激だ。
 ワシャは、衆議院議員岡田克也氏があまり好きではないので、イオンにはあまり行かなかった。だからイオンの食材はよほど口にしていない。でもね、どこのスーパーでも大なり小なり似たようなことをやっている。食品の60%を海外から輸入する国で、中国産を食わないというわけにいかないだろう。それは理解しつつ、それでもなるべく選んで食べるようにしている。そのぐらいしか庶民には防衛策はないわさ。

 今朝の朝日新聞「記者有論」で「はだしのゲン」の閲覧制限について大阪の記者が書いている。朝日にしてはいいことが書いてあったので、紙面の欄外に「無断転載を禁止します」との記載があるが、転載しなければ議論もできないのであえて引く。
《良書だから開架にせよという主張も、悪書だから排除せよという主張も、ともに間違っています。》
《図書館の自由は、対立する意見を論じるためにも、多様な本を等しく扱うという立場なのです。》
 まさにそのとおりで、評論家の呉智英さんが「週刊ポスト」で言われていた。『はだしのゲン』を貶めるバカに崇めるバカ、どちらもバカ、ということなのだ。
「記者有論」の中に、千葉県船橋市の司書の話が出てくる。この司書、自分の思想信条と違うという理由で、西部邁渡部昇一などの著書107冊を廃棄してしまった。この司書も浅はかだと思うが、なにしろ一辺倒に傾いた読書はいびつな思考しか作らない。
 コラムニストの勝谷誠彦さんがよくぼやいておられる。
「右寄りの人間からはサヨクと言われ、左巻きからはウヨクと罵られる」
 でも、これが勲章で、左右どちらの考え方も吸収して、その上で物事を判断しているわけだから、一辺倒な連中には異分子と見られるわけである。
 そういえば司馬遼太郎もそうだった。支那・朝鮮からは「右翼作家」と言われ、国内の右系からは「サヨク」と言われていたっけ。
 ワシャの師匠もよく言っておられた。
「物事を一面からだけ観察して理解してはいけません。文献に当たる際には必ず両論を読破し、その上で判断をすること」
 仰るとおりで、「週刊文春」を読んだからといって、その記事を鵜呑みにはしません。とはいえ、イオンで食材を買う時には慎重になります。