野田佳彦評

 コラムニストの勝谷誠彦さんが有料メールでこんなことを言っている。
民主党の現在の不甲斐なさは、野田前首相に責任がある。処分するなら菅さんより先に野田さんでしょ」
 菅直人より野田佳彦のほうが多少まともだと思っていたので意外だった。
 勝谷さんによれば、その理由として「TPP参加」、「消費税増税」、「原発再稼働」など決めたことを挙げている。これらはどれも民主党マニフェストにないことばかりで、このことが先の衆議院議員選挙、参議院議員選挙において民主党のブレーキとして作用し、戦場は民主党候補の死屍累々となった。ゆえに勝谷さん、民主党において野田氏に一等の罪があると指摘する。
 なるほど、民主党にとってみればそうかも知れぬ。確かにそう指摘されれば思い当たることも出てくる。

 昨日の新聞である。朝日新聞には1面トップに「福島第一 汚染水危機」という見出しが躍った。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG0202M_S3A800C1EA2000/
 この記事は日経新聞だけど、内容は同じ。
要するに山側から地下水がどんどんと敷地内に流入し、原発敷地内で汚染され、福島の海にばんばん流れ出ているということである。これは、原発事故以来ずっと続いていることで、そのための被害は拡大の一途と言っていいだろう。
 それに、原子炉の格納容器内には、溶けた核燃料が未だに手つかずの状態にある。あるというか、あるだろう程度の話で、中でどういう状態になっているかさえ現時点で確認できない状況なのだ。
 こういった事実がいくつも残された状態で、野田首相(当時)は、福島第一原発の「収束宣言」を出してしまった。政治家はバカだと思う。バカでなければできないところもある。しかし、この決断は政治家、とくに日本の針路を左右する転轍機のテコを握っている人間が絶対にしてはいけない。
 原子炉にしても、排水にしても、何一つまともに抑えこめていないのに「収束」?これを口にした瞬間に野田首相の評価は地に墜ちた。彼は日本の国土に対して、これから先の歴史に対して、大きな禍根を残した。そういったことを考え合わせると、鳩山さん、菅さんも酷かったが、野田さんもまともではなかったなぁ。