自衛艦旗について

 サッカーの日韓戦で、韓国サポーターが政治的スローガンを書いた横断幕を掲げたことについて。
 これは歴史をていねいに紐解けば、韓国人の言っていることが、単なる言いがかりだということが理解できる。

 それにしてもいつのまにか論点がすりかえられている。海上自衛隊の使っている自衛艦旗を振った日本人が一番悪くなっているじゃない。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130801-00000015-ykf-spo
 韓国人は見事だ。自分のしでかしたことを、あっという間に人のせいにしてしまう。「日本が自衛艦旗を振ったから、対抗して俺たちも振った」と言っている。そんなわけないでしょ。対向するために横断幕を準備してきたの?自衛艦旗がはためかなければ、絶対に横断幕を出さなかったかな。そんなわけはないわさ。
 発端は、サッカー選手が競技場内で政治的な発言をしたり、朝鮮併合に反対していた伊藤博文を暗殺したテロリストの描かれた旗をこれ見よがしに掲示していたことがあった。なにも最近始まった非礼ではない。今回だけいい子ぶってもしかたがないだろうに。
 今回の非礼は「歴史を忘却した民族に明日はない」という横断幕である。これは国際サッカー連盟に規定に違反している。そして韓国の言っている「旭日旗」実際には、自衛艦旗なのだが、それを振ることは規定違反にならない。だって、自衛艦旗には政治的な問題が含まれていないからね。
 韓国は、自衛艦旗をあげつらい、東洋の「ハーケンクロイツ」であると言う。ぜんぜん違うんだけどね。「ハーケンクロイツ」はナチス党という特定の政党旗であり、ナチス党とドイツ軍はまったく別物の組織であるということを認識しなければならない。「ハーケンクロイツ」をドイツ人をふくめて忌み嫌うのは、その政党の実施した施策があまりにも人倫に反していたことに他ならない。ホロコースト、ジェノサイド、ユダヤ人絶滅など、ハーケンクロイツの旗の下に行われたことはあまりにも酷かった。
 そういった人道に対する罪と、戦闘下で行われたことをごちゃまぜにしてはいけない。大日本帝国の艦艇が掲げていた「旭日旗」、現在、海上自衛隊の掲げる自衛艦旗は、英国艦にはためく「ホワイトエンサイン」と同種のものであり、伝統に裏打ちされた海軍の旗なのである。「ホワイトエンサイン」は「ユニオンジャック」に準ずる旗であり、英国民の誇りなのである。
 自衛艦旗だって同様で、明治以降の歴史の中で海洋国家日本の防衛に命がけで当たってきた象徴のような旗なのだ。日章旗に準じる旗と言っていい。その旗を振るたびに、「ナチスドイツ」呼ばわりするのはいい加減にしろよ。
 日本と朝鮮半島の歴史と、ナチスドイツとユダヤ人がどういった歴史だったのか、きっちりと検証した上で、モノを言え。

 憲法学者竹田恒泰氏が、昨日の「たかじんのそこまで言って委員会」でこんなことを言っている。
「韓国のことを考えるときに、その、忘れちゃいけないことがあると思うんですよ。みんな近代国家だと思ってますけど、ぼくは前近代国家だと思ってまして、だって「反日無罪」だとか、あとはもう外交で決着がついていることを、新日鉄三菱重工に賠償命令が出たりだとか、仏像を還さないだとか、近代国家の仮面は被っているが、中身は法治国家ではない、人治国家ということですね。そういう国だということを前提に話さないと……」

 司馬遼太郎さんは『日韓 ソウルの友情』(中公文庫)の中の対談でこんなことを言われる。
《かれは、》
 かれとは、司馬さんと仲のいい韓国人のことである。
《侠気(おとこぎ)や節度、それにやさしさを持った人物である。また、戦後、頑質な社会主義者として再出発し、いまはややひらけて(?)きている。それに、日本古代史にも関心があり、いわば物のわかったひとだが、こと自民族の文化となると、これを絶対化してしまい、いわば日本の戦前の皇国史観とかわらなくなる。》
 ここからが重要である。
《かれは日本文化については容赦なく相対化するが、こと朝鮮文化となると、それを相対化したり解析したりすることはこばんでしまう。人類の文明と言うものは古代もいまもさかんな交流によって成立してきたということを、知的にはかれもわかっているはずだと思うのだが、こと朝鮮文化になると、目の前がまっ暗になってしまう。》
 司馬さんの友人もそうなのだろう。自国のことについては、歴史の一点、表層に現われた一事をもって、独断をし、相手を徹底的に糾弾する。何も見えていないんだろうね。

 おそらく自衛隊旗を振っていた日本人には、国旗に準じる旗を振る、そのことで味方を応援するという以外の思いはなかったであろう。だが、「メッセージ」の記された横断幕を振った韓国人は、知的な人物であったのかもしれないが、司馬さんが指摘した類の人物だったと思われる。

 中世の気分に浸っていた朝鮮半島を含む東アジアを武力により叩き起こしたのは、帝国主義を標榜する欧米列強でしょ。ロシアの南下政策に対して日本に庇護を求めたのは、時の朝鮮政府だったわけで、日本と併合していなければ間違いなくロシア領になっていた。
 そういった意味から言えば、朝鮮を含む東アジアを脅かした欧米列強の親玉である英国の「ホワイトエンサイン」、あるいは朝鮮半島を占領しようとしたロシアの海軍旗の白地に青十字の「聖アンドレイ旗」こそ敵視しなければいけないのではないか。

 いずれにしても、何も見えていない韓国人に、我国の海上自衛隊の旗について侮辱するのは止めてもらいたい。