『新潮45』8月号に評論家の呉智英さんの卓見が載っている。
《いまこそ「選挙権免許制度」を》という題である。特集の「私の憲法論」の中の一説なのだが、ひいき目ではなく、他の14人の論者の追随を許さない。
呉さんは言う。
《ポピュリズムの元凶たるバラマキ普通選挙を廃し、「選挙権免許制度」を導入するべき》
要するに、20歳になったら誰にでも選挙権を与えるのではなく、ごく常識的な中学校程度の客観的な試験、車の免許よりも簡単なものを実施して「選挙権」を与えるというもの。
呉さんは厳しい。
《この程度の試験でさえ、恐らく受験者の半数ほどが落ちるだろうし、そもそも免許を獲得してまで選挙権を持とうとする人は多くないだろう。》
ワシャも以前から選挙制度には疑問を抱いていた。しかし、呉さんの論に接し、霧が晴れた。今だって、投票に行く人は少ない。ひどいものになれば30%代なんていう選挙すらある。7割は寝ているのだ。はなから選挙など関心がないし、選挙制度そのものを理解していない可能性すらある。だったら、政治に参加したい、政治をまじめに考えたいという人に免許として選挙権を与える。こうなると選挙権を持つ人たちの意識は高まろう。そして、その人たちの責任ある投票行動で政治が動くようにすればいい。
なにしろ呉さんの話はおもしろい。
「識者が投票率の低さを嘆くが、投票率が郄ければいいのか。民主主義を国名に入れている北朝鮮では99%の投票率だ。投票率が高くとも何の意味もないことがわかるだろう」
それもおっしゃるとおり。
詳しくは「新潮45」の8月号を読んでね。