人を助ける

 日曜日の朝、松居直美磯野貴理子森尾由美の3人が「早く起きた朝」という番組で楽しい会話を届けてくれる。
 今朝は、森尾さんが海外の空港でのエピソードを話した。若い女性が赤ちゃんを胸に抱え、その上、両手に重そうな荷物を下げ、ヒールの高いブーツを履いていたそうだ。
 搭乗手続きの中にブーツを脱がなければならない場面があるらしい。若い女性は赤ちゃんを抱えたまま、片足ずつブーツを脱いだそうな。森尾さんはそれを見ていて、赤ちゃんを落としはしないかとハラハラしながら、それでもすぐにバックアップできるように身構えていたという。森尾さんの心配そうな表情が思い浮かぶ。

 先日、昼休みのこと。近くのスーパーまでブックエンドを買いにいって、その帰り道にJRの小さい踏切があるのだが、その150mくらい手前まで差し掛かった時に、異変を察知した。信号がなり始めているのに、シルバーカーに乗った老人が踏切内に侵入してしまったのだ。シルバーカーはご存知のようにゆっくりと踏切内を進む。反対側の遮断機が下りてきて、シルバーカーは踏切内に閉じ込められてしまった。
 
の進行を止めた。踏切は鳴っていり。遮断機が下りてくる。その遮断器にシルバーカーがはさまっていて、老人がシルバーカーから降りて遮断機を持ち上げて踏切内から脱出しようとしている。こりゃいけない。ワシャは走り出した。
 たまたま踏切に差し掛かって一旦停止しているワゴン車からも女性のドライバーがあわてて降りてきて、遮断機をまたごうとしていた。
 シルバーカーの老人は、強引に遮断機の竹をひん曲げて、とにかくシルバーカーを脱出させることに成功した。勢いよく駆けてきたワシャは、踏切の向こうの女性と顔を見合わせて、笑いあった。あ〜よかった。

 件の老人、踏切の外でシルバーカーに座ると「なんだいったい!」「めいわくもはなはだしい!」とかブツブツと独りごちながら、去っていったのだった。

 なんだいったい?悪いのは、警報音が鳴りだしていたのに、踏切に進入したおじいさんですよね。それで危険な目に遭ったからといって、当り散らすのはいかがなものでしょうか。それに少なくとも2人の赤の他人が、おじいさんの危機に際して、何らかのアクションを起こしている。責めて「心配かけたね」とか言ってもらってもバチは当たるまい。

 じいさんの反応なんかどうでもいい。それよりも清々しかったのは、ワゴン車の女性である。他人の危機に手を差し伸べようとしていた。森尾由美さんもしかりで、まだまだやさしい日本人はいるということである。