医療にたかるな

 4月22日の日記で、夕張市で医療再生に取り組んだ村上智彦医師について触れた。
http://d.hatena.ne.jp/warusyawa/20130422
新潮45』の藻谷浩介氏との対談も面白かったので、早速、『医療にたかるな』(新潮新書)を購入して読んだ。
いやぁ、これが霧が晴れるようないい本でしたぞ。夕張の例をとって、日本の過剰医療の現状を的確に指摘するとともに、実は、他の行政、市民のありかたまで踏み込んで厳しく指弾している。それがまた正鵠を射ているので、言い訳のうまい行政関係者、あるいは行政まかせにばかりする自称善良市民には耳が痛い。
 こんな話がある。
《品のいい高齢の女性が、涙ながらに訴えます。「破綻前は子供たちに本の読み聞かせをやっていたのですが、財政破綻で図書館が閉鎖されてしまったので、それも出来なくなってしまいました」》
 こんな善良な人にむかって村上さんは、「そんなものは図書館がなくてもできる」と言い、「あなたたちはそうやってなんでも人任せにしてきて、自分たちでやらなかったから破綻したのではないですか」と手厳しい。
 さらに続ける。
「自分たちの手で町を守ろうという覚悟のない地域は、潰れていくしかありません」
 全編がこの調子である。善良な市民だと思っていたワシャにも村上さんの言葉か突き刺さってくる。そろそろ善良さを装ってこの国の未来を食いものにしている輩を退場願う時期に来ているのかもしれない。
 夕張市の現状を違う切り口から暴いていて、この点もとても参考になった。行政関係者のかたは是非ご一読をお薦めします。

 4月6日の日記で、湿布薬をめぐって総合病院の医師とのやりとりを書いた。
http://d.hatena.ne.jp/warusyawa/20130406
 今、思い返せば、その医師は『医療にたかるな』を読んでいたんだね。だから、健康そうなのに湿布薬をもらいに来るワシャに厳しい態度を見せたのだろう。
《「自分は難病だから薬だけ受診を認めろ」「患者の欲しい薬を出すのが病院の仕事だ」「24時間好きな時に医者にかかれるのが患者の権利だ」など病院職員を疲弊させるような発言をする人がたくさんいました。》
 ううむ、ワシャは静かで礼儀正しい患者なんだけどなぁ(笑)。
 でも、万人がそう思っているだろう。村上さんに《「市民」という名の妖怪が徘徊する》などと言われないように自重しようっと。