今、なにをするべきか

 名古屋市河村たかし氏が3選を果たした。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130421-00000049-mai-pol
 投票率が下がりムードで動く浮動票が減じれば、自民系の藤沢氏有利と見ていただけに、河村圧勝は意外だった。名古屋市の友人から、街路剪定や道路補修などへの苦情を聞いていただけに、名古屋市民の選択を不思議に思う。
 でもね、日本総研の藻谷浩介さんによれば、「名古屋人と三河人は、思考回路や価値観においてまった別の人種ほど違っている」というから、三河人のワシャが名古屋人の投票行動の理由など考えても仕方がないのかもしれない。

新潮45』の5月号である。ここに藻谷浩介さんと、財政破たんした夕張市の医療再生に取り組み、『医療にたかるな』(新潮新書)の著者でもある村上智彦医師との対談が載っていた。テーマは――「現場の奮闘」こそが日本の生命線だ――である。
 現在、村上さんが建て直した夕張市の医療体制は10人の医師によって維持されている。それを村上さんは1年3ヶ月の間、たった1人で受け持っていたそうだ。「過労死するレベルですよ」と藻谷さんがツッコミをいれているくらいだから、よほどの苛酷さだったのだろう。
 二人の会話を引く。
藻谷「これは自分がやらざるをえないという使命感というか、より落ち着いた言葉で言えば、全体を最適にするための自己犠牲を持つ人が、地域医療を担っていてくれている」
村上「いやいや、そんな立派なものではないんですが、ただ、自分の子どもが二十歳を超えた時に悲惨な状態になっているだろうと思うと、何とかしなければならないと」
 今後、地域の高齢化は待ったなしであると、二人は言う。それは夕張など過疎の地域だけの問題ではない。東京都でもワシャがよく行く新宿区戸山では40%の高齢化が進んでいる。大都会でも足元で高齢化はじわじわとやってきているのだ。
 団塊の世代が75歳を超えるのはすぐ目の前に迫っている。人類が経験したことのない超高齢化社会が暗黒の口を開いて待っているのである。
 これに対して藻谷さんも村上さんもポジティブに捉えている。日本人のポテンシャルをもってすれば超高齢社会もなんとか乗り切れると、賢明な二人が言っている以上、希望をもって前に進んでいくことが大切なのだろう。

 昨日、坂村真民という仏教詩人のことを書いた。そこで「あとからくる者のために」という詩をご紹介した。自分の子どもになぞらえて、奇しくも、同じことを村上さんが口にされている。これは、司馬遼太郎の遺言『二十一世紀に生きる君たちへ』
http://gogodiet.net/Forkids.htm
にも通じるところである。

 河村さん、目先の減税などどうでもいい。名古屋にもすぐにやってくる超高齢社会を見据えて、今やっておくべきことを、地に足をつけてしっかりと実施しておくことこそが大切なのではなかろうか。パフォーマンスはどうでもいい。市政とまじめに取り組むことこそが43万票の負託に応えることだと思う。