ワシャ、メタボ?

 厚生労働省がメタボな人は、そうでない人よりも9万円も医療費がかかっていると発表した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130406-00001213-yom-soci
 このことにコラムニストの勝谷誠彦さんも、有料メールで反応している。
《役人というのは凄い。「メタボリックシンドローム」という医師たちからすればほとんど「虚構」の「病気」を作ることによって莫大な利権と天下り先を作ったんだからなあ。「メタボ」という造語がいいですよ。昔からの言葉を使えば「デブ」でしょう。》
 実はワシャもメタボで引っかかって、凄いことになっている。腹回りが標準(85cm)より1cmオーバーした。人間ドックの時に少し腹をへこませることを怠った。これでメタボと判定されたのである。現在は83cmで、腹をへこませれば80cmだわさ。
 ワシャの標準体重は65kgである。今は66kgくらいだが、検査の時は70kgを超えていた。でも、ワシャの現物を知っている皆さん、見た目はデブではないでしょ。やっぱ、デブってますか(笑)。

『医療幻想』(ちくま新書)の中で医師の久坂部羊さんは、
《診断とは、ある種の線引きである。人間が基準値を決めて、正常と異常を分けている。だから基準値が変われば、それまで正常だった人が病気になったりする。》
 そう前置きをして、血圧の例を挙げる。1981年では収縮期血圧160ミリHg以上、拡張期血圧90ミリHg以上が高血圧だった。それが年々下方修正されたという。今は上が140ミリHg以上、下が85ミリHg以上ということになった。ワシャは上は良かったけれど、下が86ミリHgだったので、引っかかってしまったのじゃ。
 昨日発売の『文藝春秋』には、関東医療クリニックの松本光正医師が、久坂部医師と同じことを指摘している。その上で「高血圧、医師の診断は気にするな」と断言する。そもそも高血圧は病気ではないし、降圧剤を飲んでいても脳梗塞になってしまう患者は少なくないという。降圧剤を服用すると、血液が流れにくくなり、脳梗塞のリスクが高くなってしまうらしい。
 専門的なことはよく解からないが、取りあえずワシャの1ミリHgオーバー程度は気にすることはなさそうだ……と思うようになった。

 久坂部医師は、中性脂肪にもふれている。
中性脂肪の150mg/dlも、外食の多い中高年ならほとんどが引っかかる基準値だ。》
 そして、この基準値を決めた国公立大学の研究者たちには、製薬会社から多額の寄付金が流れていると指摘する。「基準値が下がる」「患者が増える」「薬を買う」「製薬会社が儲かる」「研究者に研究費が流れる」こんな仕組みがあるとは知らず、検査結果に一喜一憂していた自分が情けない。

 冒頭、勝谷さんの発言として引いたが、言葉の言いかえが、患者を増加させた要因のひとつだと指摘する。これは久坂部医師も同様なことに言及している。「メタボリックシンドローム」などと言うから病気っぽいのだが、単に「デブ」と言っておけばいいのだと……。
ワシャも「メタボ」と言われると「そうなのかなぁ」と納得しそうになるが、「デブ」と言われれば「違うもんね」と反論したくなるもんね。

 先日、一通の封書が舞い込んだ。中身は健康保健組合からの「特定保健指導受診」の案内だった。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/info02_74.pdf#search='%E7%89%B9%E5%AE%9A%E4%BF%9D%E5%81%A5%E6%8C%87%E5%B0%8E%E5%88%A9%E7%94%A8%E5%88%B8'
 これですわ。前述の「腹囲」「拡張期血圧」「中性脂肪」が引っかかったため、「積極的支援」をしてくれるという。同封された「特定保健指導利用券」には「利用者負担なし」と書いてある。ワシャはタダで健康指導が受けられる。でも、これはこれで、医療費に反映され、医療費が膨らんで業界は潤うというなんだね。
最初は「積極的支援」と書いてあるので、我が身に何事が起きたのかと心配になった。会社の保健師に確認すると「受けたほうがいい」と言うし……。
でもね、いろいろな本を読んでいくと、どうもあわてて「積極的支援」を受けなくてもよさそうに思えてきた。
 それに、今、ワシャは運動量を増やしている。飲酒の回数も制限し始めた。家飲みは極力しない。食事もきちんと摂っている。おかげで体重も減ってきた。
 根拠のない数値に悩むのではなく、楽しく気楽に考えて「テーホヘテホヘ〜♪」と生きてゆけばいいのだ。そう思うようになった。