日本の美点のゆらぎ

 日本が世界に誇れる美点はいくつもある。
http://www.cnn.co.jp/travel/35023868.html?tag=mcol;relStories
 CNNの記者は、「世界で最も清潔な場所」と言ってくれた。ありがたい。日本のトイレに言及し「日本の美徳」「驚くべき現代技術が詰まった日本のトイレに多くの旅行者が深く感謝している」と驚いている。
幕末に日本にやって来たタウンゼント・ハリスも好印象を日記に記している。
喜望峰以東の最も優れた民族」
「家も清潔で日当たりがよいし、気持ちもよい。世界のいかなる土地においても、労働者の社会の中で下田におけるものよりもよい生活を送っているところはほかにあるまい」
 ハリスばかりではない。幕末から明治にかけて来日した外国人は、日本の清浄さにおしなべて好意的である。
 それは現代に入っても変わりがない。昭和36年に駐日大使として来日したエドウィン・O・ライシャワーも著作の『ライシャワーの日本史』(文藝春秋)でこう言っている。
《日本は、世界の中でもきわだって特色のある、洗練された文化を長年保ってきた国である。(中略)それは、ひとえに、国民のすばらしさと特異な歴史的経験の賜物なのである。》

 ワシャの住む町に、外国人ばかりがたまっているアパートがある。その敷地内はゴミが山積みにされて、じつに汚い。掃除をするという文化を持ち合わせていないのだろうか、と思ってしまうくらいだ。その状況を目の当たりにすると、彼らがこの地域を愛しているとはとても思えない。
 ワシャは基本的に外国人が増えてもいいと思っている。金美麗さんやドナルド・キーンさん、石平さんたちのように日本の歴史、文化、言語を理解してくれている方々なら大歓迎だ。もちろん文化人でなくても、片言の日本語しか話せなくても、日本を愛して、日本のコミュニティの中に溶け込もうとしてくれるなら、仲間として迎えるべきだと思っている。
 でもね、日本の便利さを、日本人の優しさを、利用するためだけに来日しているような外国人はご免だ。

 日本人は古代より、自然を礼拝し、豊穣を願い、土地を清浄に保つことを心掛けてきた。その美しさが、無軌道な外国人の受け入れによって、根底から揺らぎ始めている、脅かされている、少なくともワシャの周辺を見る限りそんな気がしてならない。