ううむ、このところ3時間くらいしか睡眠がとれていない。ワシャ、ナポレオンか!
そんなことはどうでもいい。問題は駆け込み退職だ。9府県450人の教職員や警官らが、退職金の減額前に少しでも多い額を確保しようと早期退職をする。それで手にできる金は50〜70万程度だという。いじましいはなしではある。だからと言って笑うこともできない。50万円はその辺りに落ちているものではなく、もちろん誰もくれないし、老後のことを考えれば先の見とおせない時代にはのどから手が出るほど欲しいだろう。
今回の駆け込み騒動は、もちろん一番頭が悪かったのが、退職金減額の条例改正を急いだ自治体だろう。もう少し先読みをすれば、対処の方法があったと思うし、ここまでの混乱は起きなかった。埼玉県知事や京都府知事がぐだぐだ愚痴をこぼしているが、「それはあなたたちの手続きが悪かったのだよ」と言いたい。
ただね、30年40年人生の活動期にその職を全うしてきたのではないか。きれいごとを言うつもりはないが、50万円で最後の花道を下りてしまうのはいささか惜しい。もちろんそのことに気がついている誇り高い先生やおまわりさんはたくさんいて、この450人という数値が10%でしかないというところに安堵をするものである。
今朝の朝日新聞「声」欄。三重県四日市市の高校生の投稿がいい。
《大学入試センター試験の前々日に進路の先生から激励の言葉をもらった。今年退職する先生で、私たちは最後の教え子だ。先生は男なのにどういうわけか春から髪の毛を伸ばし始めた。
髪は伸びていくにつれてポニーテールになり、生徒の間では願掛けでもしているのかとうわさになった。そしてセンター試験前の学年集会。髪が肩まで伸びていた先生が言った。
「私の髪の毛は春から伸ばしてこんなに伸びた。勉強した量は見えないが、君たちの頭にはこれぐらいの量が増えている。だから不安になることはない。一生懸命勉強した君たちは必ずいい結果を出せる」
先生が生徒のことをどれほど真剣に考えていたのか。熱い情熱と気迫を感じた。同時にセンター試験を受けているのは自分だけではなく、応援してくれる先生や家族も一緒に試験を受けているのだと思った。誰の、どんな言葉よりもその言葉に勇気づけられた。》
全文である。いい話だったのですべて写した。
この長髪先生に接することのできた子供たちは幸せである。この一言を伝えるためにひたすら髪の毛を伸ばしていた先生のことを、子供たちは終生忘れないだろう。そして子供へ、孫へ、「こんな先生がいたんだよ」と伝えていくに違いない。
50万円という金額は確かに大きい。しかし、3月末まで残れば、愛する子供たちの巣立ちを見ることができるのだ。「そんなものよりも銭だ」と言われればなんの反論もできないけれど、ワシャが教員ならば「あの担任、退職金が減るからって卒業式にも出ずに辞めたんだよ」とは言われたくない。江戸っ子だから(笑)金に汚いと思われたくないのだ。子供たちも教師に失望するだろう。
それよりも、
「僕の髪が肩まで伸びて君と同じになったら〜〜卒業しようよ〜ルルルル〜♪」
と、最後の学年集会で唄って、笑顔で教え子を見送りたい。
だからギターを始めたわけではないですよ。念のため。