未来ボロボロ

 滋賀県知事の嘉田さんは、小沢一郎氏を甘く見ていた。嘉田さんの力量で小沢さんを使いこなせるわけがない。そもそも比例近畿ブロックで、肝炎訴訟のヒロイン福田衣里子さんを名簿順位最下位にしてしまったところから、嘉田さんには味噌が着いている。この1カ月大騒ぎをして「日本未来の党」は、結局、社民党から移った阿部知子さんしか残らない。
 もちろん小沢さんも下手を打った。嘉田さんの清新なイメージを前面に打ち出すことで、なんとか延命を図ろうと摸索した。しかし、投票に行った有権者はそれほどバカじゃない。福田さんの最下位登録は小沢さんにもマイナスだった。「あ、そういうことをする人なんだ」という悪いイメージを有権者の多くが持ったに違いない。それでなくとも小沢さんはダーティーなイメージが先行している。顔立ちも少しこわい。だから、小沢さんに背を向けたかもしれないが、それでも福田さんを厚遇する、そのくらいの度量を見せてほしかった。

 大笑いが、河村名古屋市長だ。石原・橋下連合からそでにされて、行き場を失っていたところを「日本未来の党」に拾ってもらった格好の「減税日本」。でも、今回の選挙戦の中で、減税系の候補者はことごとく倒れて行った。結果として16人全員が落選の憂き目にあった。
今回の分裂劇においても河村さんは完全に蚊帳の外だった。そもそもまともな政治家は河村さんたちを相手にしない。厳しい言い方をすれば、河村さんは政治家ではない。いわゆる騒動師なのである。
「方程式が難しすぎて、脳の中で解析できん」
 分党について聴かれてこう語った。そりゃそうだわさ。なにも聴かされていないのだから。わずか十数名の小さな党内でも、重きを置かれていないことがよく見えてくる。別段、国会議員レベルの話でなくとも、町内の寄合だって、騒動師を介入させれば、まとまる話もまとまらなくなる。

 もう一人の騒動師、といっても河村さんほどの大物ではない大村愛知県知事である。この人も今回の総選挙で味噌を着けた一人だ。
 彼の元々の地盤である愛知13区から、東京からわざわざ小林興起氏を読んで立候補させた。当然、そこには「オレの地盤だから」という大村さんの計算があったことは間違いない。だが、結果を見れば、有効投票244,000余のうち37,400余票しか取れなかった。法定得票数が40,000票程度なので、供託金は没収となった。著名な小林さんを持ってきてこの体たらくである。これで13区にあった大村さんの地盤は崩壊したと言っていいだろう。
 13区内のそこいらじゅうにある大村掲示板に、小林興起さんとなかよく並んだ写真が貼りまくってある。しかし、大村さんは、小林さんを応援したことを否定して回っているという噂を聴く。
 あれだけポスターを貼っておいて、関係はなかったはないだろう。マイナスの結果も甘んじて受け入れ潔く行動をする、政治家の矜持というのはそういったところにあると思うがいかがかな。

 どちらにしても男たちの描いた未来は1か月で瓦解した。やれやれ。