大村知事の本性

 8月6日の東海テレビ「ニュースOne」に大村愛知県知事が出ていた。

https://www.tokai-tv.com/tokainews/article_20200807_136060

 去年の「あいちトリエンナーレ」の負担金などを巡って対立が続いている愛知県の大村知事と名古屋市の河村知事だが、この日は大村知事が出演して持論をまくし立てていた。途中からの映像しかないのでそこから文字起こしをしてみた。全文を以下に記す。ちなみに映像は高須先生のツイッターから見られますので興味のある方はそちらでどうぞ。

 大村知事、高井アナの「河村さんとお話合いの場を持たれるんですか?」というような質問にこう答えた。

 

《私はね、あの私は河村さんとお話、いーいー、もちろんしますよと。えー、ただその前に、あの3月4日に県と市でプロジェクトチームをつくって、保険担当部局は毎日、ま、すべての情報を共有して一緒にやっています。3月4月はですね。名古屋市民の、あの入院された方、半分はあの市外のあれが調整してね、やってます。今度、名古屋市の駅東にね、あの800室のあの入所施設、ホテルを借り上げましたけど、これも県がやっています。で、入院は県と市でやっています。で、河村さんとはしっかりとあのお話するならね、あのしますけれど、ただ申し上げたのは、セレモニー、儀式をしてもしようがないので、河村さん、もし来られるならね、しっかりと勉強してくださいよと。それでないと話がかみ合わなかったら意味がありませんから。まーやっぱりそういう意味でも県民市民の命を守るためにね、我々県と市もしっかりと連携をしてきましたし、これからも連携していきます。》

 

 これで380文字くらい。時間は54秒。これは早口に過ぎる。だいたいワシャがプレゼンする時に1分250文字から270文字を目安にする。そのくらいが一番聞き取りやすいからである。おそらく手慣れた話者はその程度を目安にしている。それに比べると大村さんの380文字/1分は、通常の1.5倍の早口ということで、これは聞き取り難い。

 さらに言うと、「あの」が多過ぎる。7つも入っている。これは喋りを商売にしている政治家、芸人では致命傷と言っていい。「あの~」、「え~」、「まぁ」、「で~」などを連発する話者は、言葉の継ぎ方が下手だから、それを誤魔化すために、そういった合いの手を入れているのだ。ズバリ、大村知事、話すのは下手である。それでも、記者会見なんかで連発する「シーシー」という歯をせせるような音を出さなかったことだけはよかったけどね(笑)。

 高井アナの質問に対する答えがまたずれている。というかすぐに話をはぐらかすのがこの人の特徴だ。冒頭で「もちろん話し合いをする」と言っておいて、すぐに話題を変えて「プロジェクトをつくった」だの「800床の入所施設を用意した」だのと質問とずれた答弁を展開する。まぁ官僚答弁の最たるものだろう。でも最近の官僚もこんなマヌケな答弁をしなくなった。

 さらに続ける。後段の「河村さん、もし来られるならね、しっかりと勉強してくださいよと」という上から目線はなんなんだろう。この人、東京大学法学部卒というのが金看板で、運の悪いことにそれしか他に誇るものがない。だからそこにベッタリともたれ掛って生きてきた。だからこんなイヤミになる。

 岡目八目で、大村-河村の対局を見ていると、かなり河村の打ち筋のほうが理にかなっている。勉強不足というなら、間違いなくご自身のほうである。昨年のトリエンナーレの大混乱以降、この東大卒の知事様の口から説得力のある言説を聴いたことがない。

 

 ついに、名古屋地方裁判所で「あいちトリエンナーレ負担金訴訟」が始まった。これは大村知事が、名古屋市を相手取って、3400万円の負担金の支払いを求めた裁判である。

《あいトリ負担金 請求訴訟で 河村市長は 何を語ったか?》

https://jigensha.info/2020/08/07/aitori/

 ここに河村名古屋市長の意見陳述が載っている。原稿用紙50枚にわたる長文であるが、ワシャはいっきに読んでしまった。それほど読ませる文章であった。今回の「あいちトリエンナーレ」の「表現の不自由展」という常識のある愛知県民が恥ずかしいと思う展示について、その経緯や知事・市長の立ち位置がきわめてよく理解できる陳述書となっている。ぜひ、気持ちのある方はお読みいただければと思う。これをしっかりと読み込んで、そして大村知事が卑怯者でなければ、法廷で滔々と述べてくれるであろう反論を吟味したい。それを踏まえてどちらの言い分が正しいのか、愛知県民が判断すればいいだけのこと。

 この陳述書にまともに答えられれば――もちろん高井アナに使ったような誤魔化しの話術では通用しませんよ――大村知事、かなりカブをあげられると思うよ。

 

 以前に、愛知県内某所を地盤とする県会議員から、大村知事の主宰する会への出席依頼がきた。もちろんその時点で「あいトリ」の件が問題になっていたので、日本を愛するワシャとしては、大村知事の資金パーティーのようなものへの参加には嫌悪感があった。しかし、大人だからね(笑)。明確な理由は言わずに「ちょっと都合が悪くて」と断ったのだった。

 そうしたらね、県議の関係者から「なんで出席しないのか?」とねじ込まれた。大村知事べったりの「県議の顔が立たない」というのが主なねじ込み理由なので、「だったら」ということで、関係者には「あいトリについて納得できないことがあるので行かない」旨を説明した。

「ああ、それなら私たちとのつき合いも止めるんだね」

 と捨て台詞を吐くから、「そうじゃないって」と何度言っても聴く耳を持っていなかったので、最終的に「そんならいいや」とケツをまくった。

 大村シンパの彼ら彼女らは、この陳情書を読むだろうか。おそらく読まないだろうね。彼ら彼女らは理屈ではなく、地元に頻繁に足を運んで、やさしく見下してくれる知事が大好きだからどうしようもない。

 さて、河村市長の陳述にどのような反論をするのか、楽しみに待つとしよう。