(「国東半島」のつづき)
仲間とともに新幹線のぞみで九州へ向かう。10人の団体である。席は横2列で10席。シートをひっくり返すとちょうど全員が向き合える格好だ。ここでまずすべきことは周囲の乗客への配慮である。自分が新幹線に乗車していて、傍若無人に騒ぐ団体客、観光客の気分の悪さはわかっているからね。
先手必勝、周囲の皆さんには、地元の名菓をお配りして「うるさいかもしれませんが申し訳ありません」とあらかじめご挨拶をしておく。見渡したところ、周囲も観光を目的とした方々が多そうだ。これならお互いさまということで「大目に見てもらえそう」とひとまず安どする。
周囲の方々への気配りが済めば、呑みましょうかということになった。午前8時である。いくらなんでも早すぎる。しかし大吟醸やワインが次から次へと登場してくるではあ〜りませんか。つまみはというと、ワシャが、事前に乾いたつまみが嫌いなことを告げておいたので、「タラバガニ」、「塩辛」、「チーズ」、「揚げ豆腐」などが次々と出てくる。凄いな。
とくに美味かったのが「揚げ豆腐」である。地元の名店のものを入手してきたという。この揚げ豆腐、細長い棒状になっているために食べやすい。プラカップに鎌田のだし醤油
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をたっぷりと注ぎ、そこに七味を豪勢に入れる。ここに「揚げ豆腐」をヒタヒタと浸して食べる。これがおつなんでゲス。持ってきた20本はあっというまになくなってしまった。
さて旅程は進んでいる。およよ、もう米原である。大吟醸が空き、ボージョレーも栓を開いた。しかし、左手には酒の入ったプラコップをずっと持ったままなのである。新幹線はシートを向い合せにすると、テーブルがないんですね。だから全員がコップを手に持ったまま酔っている。ぜったいにこの状態は危険だ。誰かが酒をこぼし、その匂いが車両じゅうに充満するに違いない。
ここでワシャは考えた。ポクポクポクポク……チーン。
酒は、携帯しやすいようにみんな720mlの箱入りである。この箱だ!ワシャはおもむろにその箱を手に取ると、箱の上底と下底は正方形ですよね。その他の4面は長方形だ。その長方形の一つの面に鍵の先端を使って等間隔に穴を空けた。グリグリやってその穴を徐々に拡げていく。プラコップの底より微妙に大きいくらいにする。そうすると3つのプラコップが個々に収まるフォルダーができた。それをワシャのキャリーバッグの上にのせる。少し安定感に欠けるが膝で支えるとなんとかなる。これで3人分のプラコップはずっと手に持っていなくてもいいわけだ。
でもね、ワシャは対面6人シートの真ん中にいたので、残り3人のことも考えた。
「そうだ、もう一つ作ろう」
ここで『サウンドオブミュージック』の「私のお気に入り」が流れる。ちょうど京都だった。
ワシャはもう一つの箱にも三つの穴を空け、これで合計6つの穴ができた。これなら全員がコップを置ける。箱2つを並べるとさらに安定感が増した。まずまずだ。
でも、やっぱり膝で抑えなければいけないことに変わりはない。セロテープでもあればいいのだが……。
あった。携帯用のバンドエイドだ。これで2つの箱を連結させる。そしてベルトでキャリーバッグに固定をすれば、ちょっとやそっとの振動ではビクともしないテーブルの完成なのだった。
大阪から先は、快適な列車の旅になったことは言うまでもない。(つづく)