笑えることども

 昨日、仕事帰りにいつもの本屋に寄った。入ってすぐ右手にある雑誌のコーナーで、『週刊司馬遼太郎9』(朝日新聞出版)を見つける。「新選組血風録」「坂の上の雲」の完結編。もちろん即買い。その横に『2013年の論点100』(文藝春秋)が積んである。『日本の論点』の後継版だろう。これも毎年の年末の風物詩として買っておく。帯に「日本の100の課題に105の知性が挑戦する」とある。寄稿者の中には森喜朗などもいるので「この人は痴性だろう」と思い一人ほくそ笑む。
 奥の新刊の棚の前に行く。ここでは声を出して笑ってしまった。ツボにはまるというか、まんまとしてやられたというか、ある意味で快感でもあるのだが……。
 青柳いづみこドビュッシーとの散歩』(中央公論新社)が棚で笑っていた。
 一昨日の日記で、クリスチャン・ツィメルマンのピアノ・リサイタルに行ったことを書いた。
http://d.hatena.ne.jp/warusyawa/20121119
 それがドビュッシー生誕150年記念だった。その2日後である。棚でドビュッシーが「買えよ」と笑っている。悔しー!(笑)。
 リサイタルに行く前なら買わなかった。実はリサイタルに行く前まで、ドビュッシー生誕150周年だなんてことも知らなかった。そもそもドビュッシーを「ドビッシュー」だと思っていたくらいだから。
 件の本を手に取る。帯に「ドビュッシーの作品を私たち日本人が弾くと、どこかなつかしい感じがする――」とある。一昨日のリサイタル後に、友だちに「ドビュッシーには和のテイストを感じる」と言っていた。まさにその答えがこの本の中にありそうだ。3日前なら絶対に買わない。今日のタイミングだから買う。見事に本に狙い撃ちをされたような、そんな感じかなぁ。
 この商店街の本屋は、ときおりワシャを狙いすましたような本が棚にある。
『統帥綱領』、『岩佐又兵衛風絵巻群と古浄瑠璃』、『屠場』なんていう本がさりげなく並んでいる。普通は手に取らないでしょ。でも、ワシャはまんまと手に取ってしまう。そしてレジカウンターに持っていくと、「してやったり」と笑う店主がいたりする。ときには店主から「ワルシャワさんが買うと思ってね」とストレートに言われたり……。
 う〜ん、悔しいけれどうれしいのだった。