外務省門前で

 明治22年の今日、大隈重信外相が玄洋社社員の来島恒喜(くるしまつねき)に爆弾を投げつけられ大怪我をする。このことにより大隈が進めていた不平等条約の改正は頓挫するに至った。
 この時、大隈51歳である。大隈の政敵であった伊藤博文にしても朝鮮人に暗殺されている。この当時の政治家は常に命を的にして政治をやっていたんだなぁ。

 それに比べて、現在の政治家の間延びした態はいかばかりであろうか。小粒になったなんてものではない。崩壊しているよね。
 法務大臣田中慶秋氏である。今日発売の「週刊新潮」には暴力団との交際が縷々書かれている。島田紳介暴力団との交際で芸能界を去ったのはすでに旧聞に属するが、法を司る顕官がこんなボロボロ状態でいいのだろうか。玄洋社が健在なら、頭山満がいたならば、こんなクズ大臣はまともに立ち上がることさえできまい。
 来島のやったことは政治的テロである。それを容認することはできないが、それでも明治の伊藤博文を初めとして政治家たちはこのことにより居住まいを正す。緊張感をもって国家の運営にあたったことは言うまでもない。

「才は沈才たるべし。勇は沈勇たるべし。孝は至孝たるべし。忠は至忠たるべし。何事も負うて憤りを発し、出たところ勝負に無念晴らしをするは、其事がたとい忠孝の善事であっても不善事にまさる悪結果となるものである。これ故に平生無私の観念に心気を鍛錬し、事に当たって、沈断不退の行いをなすを要す」
 頭山満の言である。
 間延びした政治家たちにこの言葉を送ろう。