ちろり

 昨日は午前中、仕事をしていた。真面目でしょ(笑)。午後から豊橋にとある調査に出かける。目的地は二川宿本陣資料館
http://www.toyohaku.gr.jp/honjin/
調査内容は秘密のアッコちゃんなのだ。
 日差しが強く少し暑い日だった。だが、湿度がそれほど高くなかたので、本陣の北に面した座敷にくつろぐと、涼しい風がいくつもの部屋を抜けて吹いているので、とても居心地がいい。ここなら本を一冊持ち込んで、朝から夕方までごろごろしながら過ごしてもいいな。日本家屋というものは、とても日本の気候風土に適していると思った。
 少し二川本陣のことを説明しよう。
 座敷数ざっと30、厠10余り、それに大名風呂や台所、土蔵などが配されている。北側の街道沿いの部屋から、裏庭までの距離が45mあるのだから、ワシャんちよりも少し広い(笑)。
 本陣の隣には旅籠屋もあって、ここは街道沿いの板の間の帳場を含めて、11室、これに風呂、厠、土蔵などがある。ここでも、北の座敷に胡坐をかいてみたが、う〜ん、初めて訪れた場所なのに、なぜか懐かしいんですな。ワシャの中にある日本人のDNAが騒ぐというか、喜ぶというか、ああ、ここで横になってまどろみたい。

 その後、豊橋にもどって駅前でちょいと一杯。
http://www.genya.jp/
 この店が当たりだった。ネットで調べて見つけたのだが、他の店と比べると一文高い。高いということは、クソガキが入ってこないということで、そうであるなら静かな可能性が高い。もうワシャくらいの齢になると、ガチャガチャしたところは性に合わぬ。静謐な空間で、気心の知れたお人と美味(うま)し酒を、注しつ注されつ宵の笹〜♪ときたもんだ(「〜注しつ注されつ宵の笹〜♪」の部分は都々逸風に読んでくだされ)。
 そういった意味では正解だったし、もう一つうれしいことがあった。なんと熱燗が「ちろり」で出てきたのだ。「ちろり」ですぞ。え、「ちろり」を知らないって?これでんがな。
http://www.meimonshu.jp/modules/xfsection/article.php?articleid=262#a1
 要するに酒器の一種である。江戸時代、熱燗徳利よりも「ちろり」の方が居酒屋などではスタンダードだった。まさか、二川で江戸の風に吹かれた後で「ちろり」で飲めるとは思わなかった。
 う〜ん、江戸にどっぷりと浸かった半日だったわい。